十六夜から結婚式をやらないかと提案された。

以前、ウェディングドレスのショーウィンドウを榛名が見ていたことを覚えてくれたのだ。

言い出したはいいが、初代神子の八重とは式はしていなかったらしく、和式洋式問わず十六夜には結婚式の知識はなかった。

会場は十六夜の住む島で招待客はいない。
かなりシンプルなものになるが榛名にとっては嬉しくて仕方なかった。


「あの結婚指輪買いませんか?十六夜様とお揃いが欲しいです」
『お揃いか…わかった』
以前より我儘が言えるようになった。

自分の我儘で十六夜が危険にあったので二度と言わないと思ったが十六夜から『我儘言ってくれないと俺が欲求不満になるから言ってくれ』とのことで雪愛のようにならないよう、十六夜に感謝を忘れないようにしている。


指輪は小さなサファイアの宝石が入った名前を刻印して貰うようお願いした。
出来あがったらお互いの神通力を込めようと話した。


休憩がてらミルクティーを飲んでいると隣の十六夜から肩を引き寄せられた。
十六夜を感じながらのミルクティーは最高だ。


『榛名、嫌だったら断ってくれてもいいんだが…翡翠から神の手紙をもらってな』
「はい」

『…俺と天界に行かないか?』

「えっ?神様や天界に捨てられたと、おっしゃってましたよね?」

『ああ、それは間違いない。俺じゃなくて榛名を天界に迎えたいらしい。俺はオマケだ』

「……」

『俺が元の姿に戻ったらって条件なようでな、お前の癒やしの力をただの人間にしておくのは勿体ないから神の仲間にならないかと』

「私が神に?」

『人間の生は長くて100年ほどだが天界の仲間になれば永遠の時が生きられるんだ』

「つまり永遠に私は十六夜様と一緒にいられるんですね。私は十六夜様と一緒ならどこへでも行きます。十六夜様が天界にお帰りになられるのなら付いていきます」

『榛名…俺は天界に帰りたい。一緒に行こう』

「はい!ムクちゃん達も一緒ですよ?」
『そのつもりだ』