いつものように朝、バス停へ向かっていると、柚原のばあちゃんが「はるが次また手袋を忘れたら、コートにポケットつけちゃる」と言いながら俺を抜かしていった。
後ろからは柚原の双子妹たちが慌てて追いかけている。妹たちが俺に目配せしてきた気がした。俺は頷くとばあちゃんに声をかけた。
「おはようございます。急いでどうしたんですか?」
「いやね、うちのはるが最近よく手袋を忘れてね。帰り、なまら寒そうな手で帰ってくるんだよ。今朝もこれ忘れてなぁ……」
柚原のばあちゃんの手には、柚原の白くて可愛い手袋が。
今日も手を繋げる日だったっぽいのに、これを届けられると手を繋げないし、柚原のコートにポケットつけられたらチャンスがなくなるじゃん。
「おばあちゃん、柚原のことは任せてください!」
なんか、ちょっと「柚原を俺にください!」みたいな雰囲気の言い方。柚原とあきらかに友達以上、どちらかといえば恋人のような関係の人みたいだ。だけどそんなの、今は気にしている時ではない。
「任せるって?」
しかめつらで疑うように俺を見る柚原のばあちゃん。
「その手袋、俺が柚原に届けます」
「いや、いいよ。私が直接渡して、ポケットの話も言うよ」
「……いや、あの、今もですけど。柚原が手袋を忘れた日は、俺が柚原家の前を通って預かれば良くないですか? 毎朝柚原とバス停一緒ですし、俺、学校一日も休んだことないから、必ず朝は柚原に会えますよ?」
俺は息つぎしないで一気に、真剣に言った。
「そうかい……そうしたら任せようかね」
真剣さが伝わってくれたのか、納得してくれたみたいで、手袋を渡してくれた。
「本当に、頼むよ? あの子すぐ風邪ひくから、手を赤くして帰ってくるたびに心配で」
「はい! 柚原のことは、お任せください!」
柚原は家族にも愛されているな――。
納得はしてくれたものの、この手袋を柚原に渡すべきか?
――どうしよう。
家へ戻っていく柚原のばあちゃんの背中を見送る。これからの行動を考えていると、妹たちが親指立てて俺に向かって、手でグッドのポーズをしてきた。俺も同じように、グッドのポーズを柚原の妹たちに返した。
後ろからは柚原の双子妹たちが慌てて追いかけている。妹たちが俺に目配せしてきた気がした。俺は頷くとばあちゃんに声をかけた。
「おはようございます。急いでどうしたんですか?」
「いやね、うちのはるが最近よく手袋を忘れてね。帰り、なまら寒そうな手で帰ってくるんだよ。今朝もこれ忘れてなぁ……」
柚原のばあちゃんの手には、柚原の白くて可愛い手袋が。
今日も手を繋げる日だったっぽいのに、これを届けられると手を繋げないし、柚原のコートにポケットつけられたらチャンスがなくなるじゃん。
「おばあちゃん、柚原のことは任せてください!」
なんか、ちょっと「柚原を俺にください!」みたいな雰囲気の言い方。柚原とあきらかに友達以上、どちらかといえば恋人のような関係の人みたいだ。だけどそんなの、今は気にしている時ではない。
「任せるって?」
しかめつらで疑うように俺を見る柚原のばあちゃん。
「その手袋、俺が柚原に届けます」
「いや、いいよ。私が直接渡して、ポケットの話も言うよ」
「……いや、あの、今もですけど。柚原が手袋を忘れた日は、俺が柚原家の前を通って預かれば良くないですか? 毎朝柚原とバス停一緒ですし、俺、学校一日も休んだことないから、必ず朝は柚原に会えますよ?」
俺は息つぎしないで一気に、真剣に言った。
「そうかい……そうしたら任せようかね」
真剣さが伝わってくれたのか、納得してくれたみたいで、手袋を渡してくれた。
「本当に、頼むよ? あの子すぐ風邪ひくから、手を赤くして帰ってくるたびに心配で」
「はい! 柚原のことは、お任せください!」
柚原は家族にも愛されているな――。
納得はしてくれたものの、この手袋を柚原に渡すべきか?
――どうしよう。
家へ戻っていく柚原のばあちゃんの背中を見送る。これからの行動を考えていると、妹たちが親指立てて俺に向かって、手でグッドのポーズをしてきた。俺も同じように、グッドのポーズを柚原の妹たちに返した。