――午後の授業が始まって間もなく母からスマホに電話があり、わたしは早退することになった。電車での帰宅ではなく、迎えが来ると言われた。
「……あの、先生。母から後で連絡があると思うんですけど、早退届は――」
通話を終えたわたしが、クラス担任である女性国語教諭に早退することを伝え、そう訊ねてみると。
「明日も登校してくるなら、その時で構いませんよ。ご両親によろしく伝えて下さいね。篠沢さん、さようなら」
「はい、……失礼します」
急いで帰る支度をして、校門の前で迎えを待っていた。数分後、迎えに来たクルマは我が家の黒いセダンではなく、見覚えのありすぎるシルバーの小型車。
「…………えっ!?」
「絢乃さん、お迎えに上がりました。どうぞ乗って下さい」
「桐島さん……? どうして」
迎えに来てくれたのは篠沢家の専属運転手である寺田さんではなく、なんと貢だった。
「お母さまから頼まれたんです。『絢乃さんの学校まで迎えに行ってやってほしい』と。直接ではなく、会長秘書の小川さんを通してですが」
「……そう、なんだ」
どうして母がわざわざ彼に迎えを頼んだのか、彼と小川夏希秘書とはどんな関係なのか。疑問はたくさん浮かんできたけれど、とにかくわたしは前日と同じように助手席に乗り込んだのだった。
「……あの、先生。母から後で連絡があると思うんですけど、早退届は――」
通話を終えたわたしが、クラス担任である女性国語教諭に早退することを伝え、そう訊ねてみると。
「明日も登校してくるなら、その時で構いませんよ。ご両親によろしく伝えて下さいね。篠沢さん、さようなら」
「はい、……失礼します」
急いで帰る支度をして、校門の前で迎えを待っていた。数分後、迎えに来たクルマは我が家の黒いセダンではなく、見覚えのありすぎるシルバーの小型車。
「…………えっ!?」
「絢乃さん、お迎えに上がりました。どうぞ乗って下さい」
「桐島さん……? どうして」
迎えに来てくれたのは篠沢家の専属運転手である寺田さんではなく、なんと貢だった。
「お母さまから頼まれたんです。『絢乃さんの学校まで迎えに行ってやってほしい』と。直接ではなく、会長秘書の小川さんを通してですが」
「……そう、なんだ」
どうして母がわざわざ彼に迎えを頼んだのか、彼と小川夏希秘書とはどんな関係なのか。疑問はたくさん浮かんできたけれど、とにかくわたしは前日と同じように助手席に乗り込んだのだった。