**無職54日目(10月24日)**

「来た!あの日が来た!」心太朗はベッドの中で叫んだ。そう、今日はメンタルが落ち込む日だ。いつものように、3日間ほど元気な日が続いた後、必ずやってくるこの日。まるで、定期的な天気のように、心の雲が曇り始めるのだ。

身体が重く、眠気が襲い、何もできない。布団の中でゴロゴロしていると、ふと、澄麗の声が耳に入る。「休めばいいじゃん。」彼女の優しい言葉が、心太朗を少しだけ動かそうとする。しかし、心太朗はまるで反抗期の子どもかのように、「でも、起き上がらないと…」と自分に言い聞かせる。

なんとか起き上がり、歯を磨いて朝食を取る。が、食べているうちに、「何もする気がしない」という思考が心に忍び込む。アメリカの海外ドラマをAmazonプライムで観ることにしたが、第一話すら見ることができずにウトウト。さすがにしんどくなって、澄麗に「寝る」と告げる。

ベッドに向かうが、布団に入ってもすぐには寝られない。さっきまでウトウトしながらドラマを観ていたのに、いざ寝ようとすると全く目が冴えてしまう。思考が無限ループに入ってしまった。「無職、ニートの典型的な生活をしているな。こんな状態で社会復帰できるのかな?」「もうすぐ子供が産まれるのに、父親としてやっていけるのか?」など、疑問が次々に浮かんでは消えない。

「生きてても意味がない」「生きてないほうが楽かも」と、どんどんダメな方へと考えが進む。心太朗の脳内では、悲劇のヒーローのような思考が渦巻いている。

その時、ふと澄麗のことを考える。「澄麗はどう思っているのだろう?」彼女は優しく、「大丈夫、休んでいいよ」と言ってくれるが、これから母親になるというのに、こんな父親で不安じゃないのだろうか。「いつもゴロゴロしている姿を見て、本音では働けよと思っているのでは…」心太朗は自己嫌悪に陥る。

「ごめんよ、今は動けんよ」と、心の中で呟く。

次に心太朗はYouTubeを開き、漫才を流す。金属バットの漫才が始まるが、笑うことはなくても、なんとなく忘れることができた。漫才のリズムに乗っているうちに、ようやく気を失って眠りに入った。

この日は起きて食べて寝て、また起きて食べて寝る。心太朗は何もできなかった。あぁ、心の雲は晴れず、気だるい日常は続くのだった。どこかで光が差し込むことを期待しながら、彼は再び布団の中へと戻った。