**無職52日目(10月22日)**
心太朗は、曇った頭でぼんやりと天井を見上げながら、「今日は雨だって聞いてたんだけどな…」とつぶやいた。そんな彼を見て、横で支度をしていた妻の澄麗が、「天気予報なんて、当たらないことだってあるでしょ?晴れてるんだから、出かけましょうよ!」と笑顔で促した。
運動不足を感じていた二人は、近くの公園では物足りないということで、大阪城公園までドライブに行くことにした。心太朗は運転席に座り、久しぶりのドライブに少し浮かれていたが、内心「大阪城公園なんて観光客ばっかりじゃないか?まあ、澄麗が楽しそうだからいいか」と、自分を納得させながらエンジンをかけた。
到着してまず目に飛び込んできたのは、予想通りの外国人観光客の大群。「やっぱりな…」と心太朗は心の中でため息をつくが、澄麗はそんなことお構いなしに楽しそうに周りを見渡している。二人は公園の森のようなエリアへと進んでいった。
「この森をでたら、映画みたいにタイムスリップするんじゃない?」と、心太朗はふざけて言った。「もし本当に江戸時代にタイムスリップしたらどうする?」
「んー、まずはお侍さんに『すみません、これ江戸時代ですか?』って聞くかな!」と澄麗が笑いながら返した。心の中で「俺も結構ノリノリじゃん」と思いつつも、江戸時代にタイムスリップしてる自分を想像して少しシュールな気分になった。
森を抜けると、大阪城がドーンと姿を現す。それと同時に、逆方向には近代的な高層ビル群が立ち並ぶ風景が広がっていた。「すごいな、この時代のギャップ。お城とビルが同じ場所にあるのって、なんか未来と過去が同居してるみたい」と心太朗は感心して言った。実際には、ただの現代と歴史的建造物が共存しているだけなのに、自分をインテリっぽく見せたいがために、そんな大げさな表現をしてしまった自分を心の中で軽くツッコんだ。
「せっかくだから、お城の中にも入ってみようよ」と澄麗が提案し、二人は城内に向かった。お堀を見ながら、「これ、どうやって攻めるんだろうな?」と心太朗が言うと、「うーん、私は…ここで弁当食べながら観光するくらいかな」と澄麗が笑った。「いや、攻めるとか考えてる俺もどうかしてるな」と、心太朗はまたしても自分にツッコんだ。
城内を一通り見た後、二人はお土産売り場へ。「こんなにお土産って種類があるんだな」と心太朗は驚きつつ、特に買う予定もなくブラブラと見て回った。澄麗が興味津々でお土産を見ているのを見て、心太朗は「これ、子供が生まれたら買ってあげるのかな…?」なんてふと考えた。「でも、俺はまず何を買うべきか分かんないから、結局澄麗に任せるんだろうな…」と、未来の自分の姿を想像して苦笑いした。
「次は子供が生まれたらピクニックしに来ようね!」と澄麗が楽しそうに言うと、心太朗もそれに頷いた。が、内心では「いや、俺、ピクニックってなんか苦手なんだよな…子供できたら頑張るか」と少し気が重くなりつつも、澄麗の笑顔を見ると「まあ、いいか」と結局すべてを受け入れることにした。
帰りの車の中、心太朗は少し疲れた様子で運転を続けながら、「やっぱり今日は晴れててよかったな」とつぶやいた。澄麗が「うん、やっぱり外に出ると気分も変わるね!」と元気に応える。その言葉に心太朗も微笑みつつ、「まあ、俺も結局こうして楽しんでるし、これでよかったのかもな」と思いながら、心の中でまた一つツッコミを入れるのだった。
こうして、平凡だけど心温まる一日は、ゆっくりと暮れていくのであった。