「旭はさ、このまま兄貴に何も言わずに終わらせていいの?旭の気持ちって、そんなもの?兄貴が誰かと付き合ったら、それで諦めちゃうくらいの、そんな軽い気持ちで好きだったの?」


ボタンを操作する指がぴたりと止まる。それでも振り返らない背中に、蒼真は続けた。


「それってさ、ほんとに好きって言うの?旭は恋愛だって思い込んでただけで、本当は違ったんじゃないの。俺の兄貴だから、自分の兄ちゃんの友達だから、そういう意味で人として好きだっただけなんじゃないの?」


明らかに場違いな軽快なゲーム音楽が、静かな部屋に流れる。
少しして、ようやく振り返った旭の顔は、赤くなかった。その目に静かな怒りを燃やして、蒼真のことを睨み付けていた。


「……だったらなんだよ、お前に関係ないだろ。俺の気持ちがどんなだったかなんて、蒼真には関係ないだろ!!」


寝転んでいた体勢から上体を起こし、蒼真は旭と向き合う。睨み付けてくる視線を、真っ向から受け止める。