「旭の兄ちゃんも一緒に三人でな」

「うちの兄ちゃんはバカだから。今の高校入れたのも奇跡だって、親が未だに言ってる。蒼真の兄貴のおかげだって」

「そういやあ合格発表のあとで、お菓子持ってきてくれたよな。なんか高級そうなやつ」

「あの時のプリン、あんなちっさいのに一個六百円もするんだぞ。絶対値段言うなって親に言われてたから言わなかったけど」

「今言ってんじゃん」

「もう時効だろ」


確かに、と蒼真が笑えば、つられるように旭も笑う。


「あの時兄貴、すっごい喜んでたよ。プリン好きだから」

「そっか……」

「知ってて選んだんだろ?」


旭は、何も答えなかった。でも、天井から視線を下ろした先で見えた赤く色づいた耳で、蒼真には答えがわかる。