もしかして先輩が関係してる?
「それってさ、何か関係してることがあるの?」
そう尋ねられて、ドキッとする。
元々、顔が中性的で身長もそこまで高いわけじゃないから可愛いとからかわれることはあって、その度に自分に自信がなくなって、笑うことも嫌になった時期もあった。だから、中学生の頃はマスクをして過ごすこともあって。
姉の助言もあって少しは自分の顔に自信も持てるようになっていたけれど、素のときに自信がつかなければ意味がない。それで、進学するなら絶対に男子校にしようって決めていた。
まさかこんなふうに誰かに可愛いと言われたり、ひとつひとつの言葉にドキドキしたりするなんて思ってもみなかった。
どうして夏樹先輩の言葉にドキドキしてしまうんだろう。
「な、何もないですよ」
慌てて顔を逸らすと、「ふーんそっか」と話は流れる。
ホッと安堵していると、コンコンッとドアがノックされた直後誰かが入ってくる。
誰だろう、と思っていると、「あれ、夏樹じゃん」と先輩のことを知っている風な口ぶりをしていた。
「ほんとに生徒会やってんだな」
「副委員長なんだから当然だろ」
「いやいや、今でも俺信じてねーから」
「なんでだよ」
いつも会長や武田先輩と会話する姿は見ているのに、俺の知らない人と先輩が仲良く話してる姿をはじめて見た。
そのことに少しだけ胸のあたりがざわざわする。
「てか、山﨑は?」
「さあ。どこか行ってるんじゃない」
俺がボーッとしている間にも会話は進み、「ふーん。じゃ、他探してくるわ」と言って早々にいなくなる。
結局今のは誰だったんだろう。
「先輩、今の人って……」
「俺のクラスメイト。で、山﨑と同じ中学だったんだって。それでよく勉強とか教えてもらってるみたいで今も探してたんじゃない」
なんだ、そっか。先輩に会いに来たわけじゃないのか。
……え? 今、俺なんでホッとしたんだ。
「矢野くん?」
「え? あっ、何でもないです! 先輩のクラスメイトさんだったんですね! それより会長戻ってくるの遅いですね」
と、はははと笑って誤魔化してみる。
なんで俺、夏樹先輩のことになるとこんなに焦ったり、悩んだり、ドキドキしたりするんだろう。
「話戻すけど、矢野くんの女装してる姿また見たいな」
なんてことを横からいきなり言うから、
「せせせ、先輩……っ!」
思わず力が入り椅子から立ち上がると、ガシャーンとパイプ椅子は床に倒れる。
「矢野くん、大丈夫?」
「だっ、大丈夫じゃ、ないです!」
──主に先輩のせいで。
心を、乱されてばかりだ。
「こんなところで、誰が入ってくるか分からないような場所で、女装だなんて安易に言わないで、ください!」
「でも、さっきも話してたよ」
「さっきは人がいなかったので……今はちょっと危ないので気をつけてください!」
椅子を起こしながら、ぷんすかぷんすか怒ると、笑ったあとに「ごめんね」と先輩は言う。
「ていうか、この前先輩俺の女装姿見ましたよね!?」
テストが終わったその日、俺は久しぶりに女装をして街に出た。
「うん、まあそーなんだけどね。もっと見たっていうか」
「……俺はやですよ」
「どうして?」
「だって先輩、普段の俺も知ってるのに女装とか……先輩の前じゃ恥ずかしいっていうか……」
一人で堂々と女装する分にはいいのに、先輩が隣にいるってだけで心がざわざわして落ち着かなくなる。
「矢野くんそれって」
他の人はそんなことないのに、夏樹先輩にだけドキドキする。
きっと、俺にとって先輩が特別だから。
俺のことを軽蔑しないでくれるのは嬉しい。
だけど、他のみんなが同じとは限らない。もしかしたらみんなが俺のことを軽蔑するかもしれない。そうなったら俺の居場所はあっという間になくなる。
「……と、とにかく、俺の秘密は毒薬だと思って厳重に保管しとかなきゃならないんですから」
「え、毒薬? なにそれ」
「それくらい女装っていうのは男子校ではタブーなんですから……」
この世界には、知られてはいけないものはたくさんある。
知られてしまったら軽蔑されると知っているから、みんな口をつぐむのだ。
「女装してるって知ってるのは先輩だけなので……絶対、秘密にしてくださいね」
誰にもバレてはいけない。
気づかれてもいけない。
「じゃあ二人だけの秘密だね」
なぜか先輩は、嬉しそうで。
「……そう、なりますね」
つられて俺まで表情が緩みそうになる。
「まあ俺は、矢野くんと一緒にいられるなら女装しててもしてなくてもどっちでもいいけどね」
なんてことを言うから、意識せざるを得なくなって。
「先輩、そういうことをすぐ言わないでください……!」
「何で?」
「何でもです!」
先輩といると気が抜けない。何を言い出すか分からないからだ。
だけど、先輩を見ていると、いつも楽しそうな雰囲気が伝わってきて俺まで自然と笑ってしまう。
なんだろう、これ。
心がそわそわして落ち着かない。
「矢野くん、また顔真っ赤」
「だからっ、そういうこと言うのも禁止です……!」
先輩がすぐに指摘するから嫌でも自分が意識してしまっていることを理解させられてしまう。そのため、全身から炎が出そうなほど熱い。
「じゃあ、可愛いって言うのもダメ?」
先輩は、本気なのか冗談なのか分からないようなことを平気で言う。
それにいつも振り回されてばかりだ。
そして今日も、また。
「……だから、ダメです!」
先輩に振り回されている。
「じゃあ言わずに思うだけは自由だよね」
俺よりも一枚も二枚も上手な先輩に、何も言い返せないのだった。
それからしばらく顔の火照りを冷ますために俺は窓のそばで風に当たって、それを少し離れたところから先輩がずっと見てくるから、結局効果があったのかなかったのかは分からない。
「ああー、もうすぐクリスマスかぁ。嫌だなぁ……」
HRが終わって生徒会室に入るや否や、そんな不満が聞こえてきた。
もちろんその声の主は武田先輩だった。
「矢野くん早かったね」
俺に気がついた会長は作業の手を止める。
「あ、はい。いつもHRはすぐ終わるので……それより俺も何か手伝いますよ」
会長や夏樹先輩が何やら作業をしているのが見えて声をかけると、「じゃあこっちお願いしようかな」と会長が手招きするので、そばに駆け寄る。
「おいっ、みんなして無視すんなよな! 俺の声ちゃんと聞こえてるんだろ」
武田先輩が声を張り上げるから、夏樹先輩が「うるさい」と切り捨てる。
俺の前だけだと夏樹先輩は優しいけれど、同級生に接するときは少しだけ雑に見える。
「もー、なに。武田、クリスマス嫌いなの?」
と、会長が渋々尋ねると、
「ちげーよ。クリスマスは好きだけど、彼女がいねーからってこと!」
武田先輩がそう言うと、会長は「ああ、そっちね」とクスッと笑う。
「矢野くん、これ、四枚セットでホチキスするんだけど、とりあえずそれを百部作ってもらえるかな」
「あ、はい。分かりました」
机の上に四つに分けられた束が置かれている。それの取る順番を教えられる。
忙しそうな会長に向かって「山崎、聞いてる?」と武田先輩は、パイプ椅子の背に腕を置いて駄々をこねているようだ。
「聞いてる聞いてる。それで彼女がいないから何なの?」
会長は呆れたように苦笑いを浮かべる。
作業もあるのに武田先輩の話し相手もするって大変そうだ、と思いながら俺は頼まれたことをやり始める。
「だーかーらー、もうすぐクリスマスじゃん! 俺、まだ彼女いねーけど。どーすんの?!」
「どうするって。それは自分の責任でしょ?」
「ひっでー…! 生徒会が忙しくて彼女作る暇もないっつーの!」
「え、じゃあ生徒会がなければ彼女できると思ってる?」
「……? そーだけど」
「ふーん、そっかぁ。へえ……」
ニコニコとした会長は、机に溜まっている作業を再開させる。
「ちょ、なんだよ。言いたいことあるなら言えよ」
「ううん、べつになにも」
会長の含み笑いにわずかに動揺する武田先輩を見ていると、「矢野くん、それ俺も手伝うよ」と夏樹先輩の声が聞こえてきた。
「え、でも先輩まだ作業が……」
「もう俺の作業は終わったから」
俺の隣に並んで、「こっちから順に取っていけばいいの?」と尋ねてくるので、すでに手伝うつもりでいるらしい。
夏樹先輩が隣にいるっていうだけで、ドキドキして落ち着かない。
「じ、じゃあお願いします」
「うん」
落ち着かないのに、夏樹先輩の声は心地よい。
「なぁ、山崎はクリスマスどーすんの?」
俺たちが作業をしている一方で、武田先輩はまだそんな話をしていた。
「べつにどうもしないよ」
「まじで? クリスマス一人とか虚しくならねぇ?」
作業をしながらちらちらと武田先輩たちを見ていると、「俺、一人で過ごすって言ったっけ」と会長は突然そんなことを言った。
「──えっ?! 山崎、お前まさか彼女が……」
武田先輩はフルフルと拳を握りしめたあと、「このっ、裏切り者ー!!」と、めいいっぱい溜めた怒りを落とそうとする。
「ちょっとうるさいって。それに俺、彼女とは言ってないんだけど」
「他にクリスマスに誰と過ごすって言うんだよ!」
「家族で過ごす場合もあるでしょ」
「山﨑に限ってそれはねーだろうが!」
あーあ……なに、この状態。誰も止めないから無法地帯が放置されている。
「……先輩、あれ止めなくていいんですか?」
隣で黙々と作業を続けていた夏樹先輩に声をかける。
「ああ、放っておいてもいいよ。山﨑がなんとかするだろうし」
「会長がって……夏樹先輩は止める気はないんですね」
「だって面倒だし。タケに絡まれたくない」
会長に期待しているというよりは、絶対にそっちが本音だと思って思わず苦笑いする。
「そういえば会長って付き合ってる人いたんですか?」
「どうかなあ。俺は聞いたことないけど」
夏樹先輩と作業をしながら、いまだに止まる気配が見えない会長たちのやりとりをたまに見る。
「山崎の裏切り者! 裏切り者にはこーしてやる!」
「ちょっとやめて。作業の邪魔だから」
「友達に邪魔って言うなよ! 切なくなんだろ!」
「武田ってばすぐ虚しくなったり切なくなったり。心弱いの?」
このやりとりをどこかで見たことがあるような……ああっ! そうだ。鳥羽と柳木だ!
会長と武田先輩を見てると、クラスメイトを重ねてしまってなんだか思わず笑ってしまった。
「矢野くんどうしたの?」
「えっ……な、なにがですか」
「いや、今あの二人見て笑ってたから」
「え、あ〜……」
うわ、やばい。俺、顔に出てたかぁ……
「どうしたの?」
作業の手を止めて、緩む顔を隠すように口元に手を添えて、
「いや、ただちょっと会長たちのやりとりが同級生に見えたので、それがおかしくなって笑ってしまいました」
会長が鳥羽みたいで、武田先輩が柳木みたい。
「あー、そうだったんだ。だから笑ってたんだね」
俺の顔を見て、先輩は優しく微笑んだ。
──ドキッ。
いやいや、ドキッてなんだ。なんで俺は先輩が笑っただけでときめくんだよ!
先輩が俺を見る瞳が、向けられる笑顔が、あまりにも優しくて。
「矢野くんどうしたの?」
「……あまり見ないでください」
俺は、慌てて目線を下げる。
「なんで?」
「や、だって先輩の……」
言いかけて、ハッとすると口を押さえる。
「……なんでも、ないです」
慌てて口を閉じた。
俺、今なにを言いかけた……?!
──笑顔が愛おしさが伝わってくるので。
「矢野くん今、何か言いかけたよね。俺が、って。俺に何か言おうとしてたでしょ」
「わ、忘れてください!」
「えー、途中でやめると逆に気になるなぁ」
「ほんとにそんな大したことじゃないので……」
先輩の笑顔はとにかく優しい。視線とか仕草とか、全部俺に対して愛おしさが見えるみたいで。
本当に俺のことが好きなんだって思ってしまう。
もし付き合ったら、先輩は俺のことを大事にしてくれるんだろうな──…って、だから、何考えてるの!!
「つーか、山崎! 女紹介してくれるっつー話どうなったの!」
不意をつくように聞こえた声にビクッとして顔を上げる。
「それは武田の日頃の行い次第って言ったでしょ」
「なんっだよ、それー!」
……あれ、まだ会長たちの話続いてたんだ。
「ったく、仕方ねーなぁ」
面倒くさそうにため息をついたあと、「矢野くん、ちょっと待ってて」と夏樹先輩は歩いていく。
「あ、はい……」
先輩に告白をされて一ヶ月が過ぎたが、まだ俺は返事をできずにいる。
先輩と一緒にいるのは楽しい。ドキドキすることもある。だけど、この気持ちが先輩と同じなのか分からない。
どうやって〝好き〟って気づくことができるんだろう。
分からなくて、今日も頭を悩ませた。
◇
「最近、寒いなぁ……」
登校中、空を見上げて息を吐くと白い息がかすかに漏れる。
そりゃそうか。もうすぐで二学期が終わるわけだし。もう冬だし。でも、寒いのはあまり得意ではない。
「──あっ、矢野くん」
後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。
立ち止まって振り向くと、夏樹先輩がいた。
「……あ、先輩」
「登校中に会うって珍しいよね」
「そうですね。あまり朝は会うことないですもんね」
帰りは生徒会終わりで一緒に帰ることが多いけど、朝は滅多に会うことはない。
「先輩はいつも何時の電車に乗ってるんですか?」
「んー、生徒会の雑務がない限り今より一本遅い電車かなぁ」
「じゃあ今日はどうして早かったんですか?」
「目が覚めちゃって。二度寝しようと思ったんだけど、この寒さで眠れなくなっちゃって」
「分かります。寒いと目が冴えちゃいますよね」
先輩の口から白い息があがる。
鼻先は、ほんのりと赤くなっていた。
「それにしても今日すっごく寒いね」
首元には、グレーのマフラーを巻いていて、寒そうに首をうずめる。
「矢野くん寒いのは平気?」
「いや、あまり……なので早く春が待ち遠しいです」
「春ってまだ先だね」
「そうなんですよ。だから、休み時間もマフラーが欠かせなくて」
教室移動とか体育とかだと、ほんっとに最悪で。
「なんか矢野くん休み時間に身体をぎゅっと縮めてそうな姿が頭に浮かんだ」
と、先輩はクスッと笑う。
「なんでそんな想像してるんですか……」
「きっと寒さに耐える矢野くん、可愛いだろうね」
「なっ、かわっ……!」
ここが公共の場だということを忘れて先輩がそんなことを言うから俺は気が気じゃなくなる。
「矢野くん、顔赤いよ」
それを指摘するのは、先輩が意地悪だからで。
「これは、寒さのせいです……っ!」
「じゃあそういうことにしておこうか」
先輩が隣にいると、落ち着かない。
こうやって冗談を言ったりするからだ。
「──あっ、そういえば矢野くん、ごめんね」
いきなり先輩が謝るから、俺はわけも分からず困惑する。
「……何がですか?」
「タケのやつが勝手に言いふらしてるみたいなんだよね。俺と一緒にいた女の子のこと」
〝女の子のこと〟の言葉で俺はピンとくる。
「……えっ、それって俺のことがバレ……」
「あー、それは大丈夫。矢野くんのことは気づいてないから」
「そ、そうなんですか?」
「うん、だから安心して。ただね、タケが俺に好きな子がいるとか会いに行ったとか同級生に言いふらしてるみたいで。それで立花にも色々聞かれてさぁ……」
そう言ったあと、先輩は「あ、立花ってのはクラスメイトなんだけど」と補足してくれる。
「……あの、聞かれたって一体なにを」
「んー、本気なのかとかテスト終わりに会いに行ったのかとか」
テスト終わり……て、ああ、あのときか。確か武田先輩たちと一緒だったっけ。
「あーあと、告白しないのかって言われたかな」
「こここ、告白?!」
「うん。まぁ、みんな矢野くんのこと気づかず女の子だと思ってるからそうやってあれこれ言ってくるんだろうけどね」
「あ、ああ、なるほど……」
「でも、もう告白はしたよね」
と、先輩が言うから、俺の心臓は落ち着く暇がない。
「……そ、そうですね。されましたね」
恥ずかしくなって顔が熱くなる。
「でも、まだ返事ができずに、すみません」
「大丈夫だよ。矢野くんが考えてくれてるってことだから」
目が合うと、先輩は優しく微笑む。
俺は、この顔にどこか安心してしまうんだ。
「……先輩は、クリスマスに恋人と過ごしたいって思いますか?」
「俺? その前に恋人いないけど」
「や、えっと、例えばです! 先輩に恋人がいるとして、どうなのかなぁと……」
あれ、俺何を聞いているんだろう。そんなことべつに知る必要もないのに。
「そりゃあもちろん好きな子と過ごしたいって思うかなぁ」
「そ、そうなんですね」
先輩でも、そんなふうに思うんだ。
「でもなんで、そんなこと聞いてきたの?」
「えっ? …あっ、いや……武田先輩がクリスマスに一人は虚しいって言ってたので。先輩はどうなのかなぁと個人的に気になってしまって」
言い訳をしているみたいで恥ずかしくなった俺は、マフラーに顔を少し埋める。
「ああ、そういうことね。俺は元々クリスマスとかイベントとか特にこだわりなかったし、むしろ友達と騒いでる方が楽しいっていうか気が楽なところはあったかな」
なんだか夏樹先輩らしい答えが返ってきて、なるほどと納得しそうになった矢先。
「まあでも、それは今までの場合だけどね」
「……え? 今までの場合?」
「うん。それは過去の話。今はちょっと違うかな」
「違うって、どんなふうに……」
そうっと顔を上げると、優しい眼差しでこちらを見ていた先輩と目が合う。
「さっきも言ったけど、好きな子と過ごしたいって今の俺なら思うかな」
──〝矢野くんのこと、好きだ〟
つまり好きな子ってのは俺のことで……
──ドキッ
「そ、そうなん、ですね!」
緊張して口の中が乾いて言葉につまった。
そんな俺を見て先輩はなぜか嬉しそう微笑む。
「矢野くんはクリスマスどうするの?」
「いや、俺は特には……」
予定もないし、恋人もいないし。
「ふーん、そっか。じゃあ女装する予定は?」
「だからありませんって!」
「なーんだ。もしかしたらクリスマスはするかもって思ってサンタコスの矢野くんを期待してたのに、ちょっと残念」
「……そもそもサンタコスって何ですか」
「サンタクロースのミニスカバージョン。あと帽子とブーツとか。いやでも、ミニスカは他のやつには見せたくねーなぁ」
なんて勝手に一人で妄想を繰り広げている先輩に、
「その前に俺はサンタコスなんてしませんから!」
赤面しながら言ったのは言うまでもなかった。