喜びの声、祝福する人々、豪華な道、破損した家々
ーそんな中今日 僕、レイ・スノウレアはこの王国の王になるー

僕の名前はリリィ。1番昔の記憶は、親に売られた時のもの。辛くは無い。だって、売られた先は、僕らを我が子のように愛してくれるところだったから。そこの人達は何回も僕に言った。
「君は特別な子だから、外に出てはいけないよ」

ある日、僕は王族に引き取られることになった。その人は一見、その人は優しそうに見えた。だが、それが僕の間違いだった。
城にいた日々は決して楽しいものではなかった。王妃は、躾と言って、僕に暴力を振るった。世話係は、僕のことを無視したり、悪口を言ってきたりした。特に酷かったのは第2王子と第3王子からの嫌がらせ。殺されかけたこともあるほどだ。国王はそれらの行為を許容していた。でも、唯一僕のことを気遣ってくれる人がいた。それは、第1王子のノア様。ノア様は王子からの嫌がらせを辞めさせてくれたり、王妃からの暴力を止めてくれたりした。だから僕は、ノア様のことをとても尊敬している。

ある日、メシアを決める儀式が行われた。
魔法陣のようなものの上に立って儀式は行われる。選ばれたものは背中の翼が金色に輝く。
しかし、みなその結果を見て驚いた。なぜなら、選ばれたのが第1王子のノア様と僕だったからだ。

王はそれから僕を地下牢に入れるように命じた。そこには罪人が沢山いて、部屋はあまり綺麗とはいえなかった。

毎日最低限の食事と弱い火の明かりで過ごした。地下での労働で手のひらや足は傷だらけになってしまった。地下には、大きな図書室があり本を読むことが出来る。だが、それら以外に特にやることも無いため、大半は寝て過ごした。

何十年かあとのある日のこと、地上がやけに騒がしかった。それが何時間か続いた後に何人かが急いで階段をおりてくる音がして「レイ」と懐かしい声が名前を呼んだ。ノア様だ。僕が喋ろうとすると、僕の口を手でおおった。
「時間が無いんだ、話を聞いて」
と、小声で言う。
「僕が居なくなったあとしばらく外へ出てきてはいけないよ。っ.....とにかく誰にも見つからないように隠れていて」
そういうと、にこっと笑い
「じゃあね、レイ...君だけでも...」
急に後ろに振り向くと、急いで走っていった。

何日か経つと、音は聞こえなくなった。外が気になって、扉に手をかけるとギィィと音を立てながら開いた。何故か鍵はかかっていなかった。

長い階段を上がり外へ繋がる扉へ手をかける。だが、何かがつっかえているのか、ものすごく重かった。思い切り体重をかけて押すとバキっという音を立てて勢いよく扉が開いた。体重をかけていたからバランスを崩し前に倒れた。と、同時に僕は目の前の景色に衝撃を受けた。