二日後、文化祭の準備で集まる日だった。
　九月開催の弊害だ。夏休みまで、週に一度、労働力を提供しなくてはならないなんて。
　それに何より、十島と顔を合わせることを想像して、気が重かった。
　秘密を明かしたことではなく、その後の経過に問題がある。
　眼鏡を外した素顔が頭から離れない。勝手口での質問の意味も不明だ。
　会ってその話題になることは避けたかったが、幸い、芦川との交渉結果を知りたがったクラスメートたちに囲まれ、あるいは気まずいのは相手も同じだったようで、互いに言葉を交わす距離に近づくことはなかった。
「お前ら、もしかして、またケンカしてるのか」
　声を弾ませている落居は、二人がいとこ同士である事実をまだ知らないようだ。秘密主義の十島に断りなく伝えることなどもちろんできず、いつか露見したとき、彼がいったいどんな反応を示すのか、その場面を想像することが恐ろしくさえあった。