靴を履き、玄関の壁に貼ってある鏡で一度全身を確認する。
リボンは曲がっていないし、ブレザーもスカートも大丈夫。ポケットにはハンカチとティッシュもちゃんと入っている。
「よし」
長い黒髪を軽く触ってからドアノブに手をかけようとした時、お母さんが慌てて玄関にやってきた 。手には食器を拭く布巾が握られている。
「ちょっと待って美羽、忘れ物ない? 大丈夫?」
いつもと同じ台詞を言われた私は、いつも通り「大丈夫だよ」と、ぎこちない笑みを浮かべながら答えた。
だけど本当は、こう思ってるんだ……。
洗い物を中断してまでわざわざ玄関に見送りに来なくてもいいし、毎日『大丈夫?』って聞いてくる必要もないって。
それを口に出さないのは、言いにくいとか、怒られるのが嫌だからっていうわけじゃない。
ただ、私は思っていることを瞬時に言葉に出すことが苦手で、言おうとするとなぜか詰まってしまうから、言えないだけ。
なんでそうなっちゃうのかは、自分でも分からない……。
「行ってくるね」
ドアを閉めて外の空気を吸うと、少しだけ心が落ち着く。
五月に入った途端、なんだか急に朝の風が暖かく感じられるようになったけど、暑くも寒くもないこの時季が一番好きだ。
晴れ渡る空の下、家の前の道を大通りに向かって歩き、いつもの時間のバスに乗った。
同じ学校の生徒も数人乗っているけれど、親しい友だちがいない私は挨拶することなく手すりにつかまり、ただ窓の外をじっと眺める。
そうして立ったままバスに揺られること十五分。学校から一番近いバス停に着くと、次々と降車する人たちの波にのることができない私は、今日も一番最後にバスを降りた。
素早く降りられずに、こうしてモタモタしてしまうのはいつものこと。入学から何も変わらない。
バス停がある大通りから一本横道に入ると、すぐに大きな校舎が目に入った。校舎は三つに分かれていて、向かって右側の三階建ての第一校舎に各クラスの教室がある。
うちの学校は一足制なので上履きに履き替える必要はないため、私は人けのない正門を通ってそのまま第一校舎に入った。
三年生の教室がある一階の廊下を進んでいるけれど、他の生徒の姿がまだないのは、私の登校時間が早いからだ。
万が一、予期せぬトラブルが起こって遅刻したら嫌なので、入学してからずっと、朝は余裕を持って登校するようにしている。
その結果、いつも一番目か二番目、遅くても三番目以内には教室に入っているのだけど、今日は一番だ。
廊下側のうしろから二番目の席に鞄を置いた私は、提出するのを忘れないように、クリアファイルから宿題を取り出して机の上に置いた。
授業で使う教科書類は、基本的に学校に置きっぱなしにしてある。でも昨日は勉強のために少し持ち帰っていたので、それを廊下にある自分のロッカーに戻し、一時限目に使うものを取り出した。
「これでよし」
教室に戻って自分の席に座り、あとはスマホを眺めながら授業がはじまるのを待つだけ。
これが、入学から続けている私の朝のルーティーン。
毎日そうするのは、準備が間に合わなくて焦ってバタバタしないための対策。つまり、みんなより行動が遅いと自覚しているからだ。
それを自分なりの努力なんて言うつもりはないけれど、性格上こうすることが一番いいって分かっているから続けているだけ。やらなくて済むならそのほうがいいし、何も考えずにいられたらどんなに楽か。
スマホで天気予報などを見ながら待っていると、少しずつクラスメイトが登校してきた。
ブレザーの代わりに赤いパーカーを着ている金髪男子が教室に入り、黒髪眼鏡男子と軽い挨拶を交わして一番前の席に座った。
続いてスケボーを片手に登校してきた男子はイヤホンをつけていて、曲にのっているのか、少し頭を揺らしている。
「おはよ~」
朝から元気よく声を上げながら教室に入ってきた女子は、真ん中の一番うしろの席に座っている女子とハイタッチをしてから隣の席に腰を下ろした。
席に着いた瞬間、楽しそうに話をしているふたりのカーディガンの色は、それぞれピンクと白。髪型はロングのメッシュと、毛先だけ青く染めたボブスタイル。ふたりともバッチリメイクをしている。
こうして見ると本当に色んな生徒がいるけど、それもこれも、うちの学校がわりと自由だからだ。
着用が許可されているカーディガンやパーカーに指定はなく、好きな色を着ることができるし、指定のリボンかネクタイも好みで選ぶことができる。それから、女子はチェックのスカートの他にスラックスも選べる。ブレザーも、式典など決められた行事以外での着用は自由。
だから、お洒落な子は自分好みのカーディガンを着たり、日によってリボンやネクタイを変えたり、髪の色も染めたりしている子がほとんどだ。
校則も緩くて、メイクも濃すぎなければ可。髪型や髪色も特に制限なく自由なのは、生徒それぞれの個性を尊重しているかららしい。
とはいえ私はお洒落でもなんでもないから、カーディガンはずっと定番の紺で、髪も染めたことはない。
だって、私がこの学校を選んだ理由は、髪色を変えたいとかお洒落をするためじゃないから。
自由というのは決して楽をしたり遊ぶためではなくて、自分で考え、選ぶという自主性を育むため。そして、それぞれの個性を受け入れ、伸ばしていくため――。そういう学校の校風に、強く惹かれたからだ。
この学校に入学できれば、今までよりも楽になるかもしれない。好きになれない自分の性格も、個性だと捉えることができるかもしれないと、そう思えたから。
だから、受験勉強を頑張って合格できた時は本当に嬉しかったんだ。
でも、実際そんなふうに前向きに考えるのは、簡単なことじゃない……。
ため息をつきながら、私は机の横にかけてある鞄にスマホをしまおうと手を伸ばした。すると、うしろから歩いてきたクラスメイトとちょうどぶつかってしまい、その勢いでスマホが私の手から離れ、床に落ちた。
「あっ、ごめん」
落ちたスマホを即座に拾い上げ、私の机の上に置いてくれたのは、生徒会長の上村恵茉さんだ。細いフレームの眼鏡をかけていて、黒髪を低い位置でひとつに結んでいる。
二年の時に同じクラスだったから、上村さんが成績優秀でみんなから頼られている存在だというのは知っているけれど、喋ったことはほとんどない。
「ごめんね、スマホ大丈夫?」
「……あ、えっと」
上村さんは心配してそう言ってくれたけれど、私は口ごもる。
「恵茉~、今日の小テストの範囲教えて~」
他のクラスメイトに呼ばれた上村さんは、「ちょっと待って」と言って、一度逸らした視線を私に戻した。
「ほんとにごめんね、壊れたりなんかあったら言ってね」
わざと落としたわけじゃないのに、上村さんはもう一度私に謝ってから自分の席に向かった。
ただひと言『全然大丈夫だよ』って言えばいいだけなのに、私の口はそんな簡単な言葉さえスムーズに出してくれない。
スマホを強く握りしめながら、情けない自分に対して心で大きなため息をついた。
希望の高校に入学してあっという間に高校三年生になってしまったけれど、今までより楽になるどころか、結局私は何も変われなかった。
思ったことをうまく言葉にできないし、伝えるのが下手で、何をするにもみんなより一歩遅い。
個性を尊重する自由な学校だとしても、私の場合は個性で片付けることができなくて、だから……苦しい。
服や髪色を変えるみたいに、性格も簡単に変えられたらいいのに……。
「おはよう、美羽」
沈みかけた顔を起こすと、前のドアから教室に入ってきた彩香が、アーモンド形の目をこちらに向けて手を振りながら近づいてきた。
私より背が高く、髪を高い位置でひとつに結んでいる彩香は明るい性格で、アイドルに詳しい。それから、もうひとり続いてやってきた小柄な由梨は、読書が好きで頭もよくて真面目だ。タイプが違うように見えるけれど、中学が同じだという彩香と由梨は、とても仲がいい。
そんなふたりとは二年の時から同じクラスで、運動が苦手だという共通点もあるからか、学校の中では唯一よく話をする友だちだ。
「おはよ」
気持ちを切り替えて手を振り返すと、彩香と由梨が私の席の横に立った。
「小テストあるのすっかり忘れてて、さっき上村さんたちが話してるの聞いて思い出したんだけど、最悪。由梨はやらなくてもできるだろうけど、美羽は勉強した?」
「あー、え、小テストは、あんまり……」
本当は結構頑張って勉強したのに、早く答えようと焦った私の口から咄嗟に出た言葉は、それだった。
「だよね。まーでもなんとかなるか。そんなことよりさ、昨日コンビニで坂口に会ったんだけど」
「嘘、コンビニって図書館の前の?」
「そうそう! しかも彼女っぽい子と一緒だったんだけど」
「ほんとに? 私も見たかったな~」
「中学の時あんなに地味だったのにね」
坂口って誰だっけ? 一瞬考えてしまったけど、どうやら中学の同級生のことらしい。
「ていうか彩香、今のうちにちょっとでもテストの範囲見ておいたほうがいいんじゃない?」
「あー、確かに。坂口とかどうでもいいか」
顔を見合わせて笑ったあと、ふたりは自分の席に戻った。
三人で話していても、私は聞いているだけの場合が多いし、ふたりにしか分からない会話をしている時は正直すごく距離を感じる。
だけど、それでいい。私が入ったところで会話のリズムを壊してしまうだけだし、喋らずに聞いているだけのほうが気持ち的にも楽だから。
他のクラスメイトは校風通り見た目も自由で、性格もみんなバラバラだけど、大きなトラブルなく無事三年生になった。
人付き合いがあまりうまくない私が、こうして平穏に高校生活を過ごせているのは、他の生徒とあまり深くかかわらないようにしているからだと思う。
リボンは曲がっていないし、ブレザーもスカートも大丈夫。ポケットにはハンカチとティッシュもちゃんと入っている。
「よし」
長い黒髪を軽く触ってからドアノブに手をかけようとした時、お母さんが慌てて玄関にやってきた 。手には食器を拭く布巾が握られている。
「ちょっと待って美羽、忘れ物ない? 大丈夫?」
いつもと同じ台詞を言われた私は、いつも通り「大丈夫だよ」と、ぎこちない笑みを浮かべながら答えた。
だけど本当は、こう思ってるんだ……。
洗い物を中断してまでわざわざ玄関に見送りに来なくてもいいし、毎日『大丈夫?』って聞いてくる必要もないって。
それを口に出さないのは、言いにくいとか、怒られるのが嫌だからっていうわけじゃない。
ただ、私は思っていることを瞬時に言葉に出すことが苦手で、言おうとするとなぜか詰まってしまうから、言えないだけ。
なんでそうなっちゃうのかは、自分でも分からない……。
「行ってくるね」
ドアを閉めて外の空気を吸うと、少しだけ心が落ち着く。
五月に入った途端、なんだか急に朝の風が暖かく感じられるようになったけど、暑くも寒くもないこの時季が一番好きだ。
晴れ渡る空の下、家の前の道を大通りに向かって歩き、いつもの時間のバスに乗った。
同じ学校の生徒も数人乗っているけれど、親しい友だちがいない私は挨拶することなく手すりにつかまり、ただ窓の外をじっと眺める。
そうして立ったままバスに揺られること十五分。学校から一番近いバス停に着くと、次々と降車する人たちの波にのることができない私は、今日も一番最後にバスを降りた。
素早く降りられずに、こうしてモタモタしてしまうのはいつものこと。入学から何も変わらない。
バス停がある大通りから一本横道に入ると、すぐに大きな校舎が目に入った。校舎は三つに分かれていて、向かって右側の三階建ての第一校舎に各クラスの教室がある。
うちの学校は一足制なので上履きに履き替える必要はないため、私は人けのない正門を通ってそのまま第一校舎に入った。
三年生の教室がある一階の廊下を進んでいるけれど、他の生徒の姿がまだないのは、私の登校時間が早いからだ。
万が一、予期せぬトラブルが起こって遅刻したら嫌なので、入学してからずっと、朝は余裕を持って登校するようにしている。
その結果、いつも一番目か二番目、遅くても三番目以内には教室に入っているのだけど、今日は一番だ。
廊下側のうしろから二番目の席に鞄を置いた私は、提出するのを忘れないように、クリアファイルから宿題を取り出して机の上に置いた。
授業で使う教科書類は、基本的に学校に置きっぱなしにしてある。でも昨日は勉強のために少し持ち帰っていたので、それを廊下にある自分のロッカーに戻し、一時限目に使うものを取り出した。
「これでよし」
教室に戻って自分の席に座り、あとはスマホを眺めながら授業がはじまるのを待つだけ。
これが、入学から続けている私の朝のルーティーン。
毎日そうするのは、準備が間に合わなくて焦ってバタバタしないための対策。つまり、みんなより行動が遅いと自覚しているからだ。
それを自分なりの努力なんて言うつもりはないけれど、性格上こうすることが一番いいって分かっているから続けているだけ。やらなくて済むならそのほうがいいし、何も考えずにいられたらどんなに楽か。
スマホで天気予報などを見ながら待っていると、少しずつクラスメイトが登校してきた。
ブレザーの代わりに赤いパーカーを着ている金髪男子が教室に入り、黒髪眼鏡男子と軽い挨拶を交わして一番前の席に座った。
続いてスケボーを片手に登校してきた男子はイヤホンをつけていて、曲にのっているのか、少し頭を揺らしている。
「おはよ~」
朝から元気よく声を上げながら教室に入ってきた女子は、真ん中の一番うしろの席に座っている女子とハイタッチをしてから隣の席に腰を下ろした。
席に着いた瞬間、楽しそうに話をしているふたりのカーディガンの色は、それぞれピンクと白。髪型はロングのメッシュと、毛先だけ青く染めたボブスタイル。ふたりともバッチリメイクをしている。
こうして見ると本当に色んな生徒がいるけど、それもこれも、うちの学校がわりと自由だからだ。
着用が許可されているカーディガンやパーカーに指定はなく、好きな色を着ることができるし、指定のリボンかネクタイも好みで選ぶことができる。それから、女子はチェックのスカートの他にスラックスも選べる。ブレザーも、式典など決められた行事以外での着用は自由。
だから、お洒落な子は自分好みのカーディガンを着たり、日によってリボンやネクタイを変えたり、髪の色も染めたりしている子がほとんどだ。
校則も緩くて、メイクも濃すぎなければ可。髪型や髪色も特に制限なく自由なのは、生徒それぞれの個性を尊重しているかららしい。
とはいえ私はお洒落でもなんでもないから、カーディガンはずっと定番の紺で、髪も染めたことはない。
だって、私がこの学校を選んだ理由は、髪色を変えたいとかお洒落をするためじゃないから。
自由というのは決して楽をしたり遊ぶためではなくて、自分で考え、選ぶという自主性を育むため。そして、それぞれの個性を受け入れ、伸ばしていくため――。そういう学校の校風に、強く惹かれたからだ。
この学校に入学できれば、今までよりも楽になるかもしれない。好きになれない自分の性格も、個性だと捉えることができるかもしれないと、そう思えたから。
だから、受験勉強を頑張って合格できた時は本当に嬉しかったんだ。
でも、実際そんなふうに前向きに考えるのは、簡単なことじゃない……。
ため息をつきながら、私は机の横にかけてある鞄にスマホをしまおうと手を伸ばした。すると、うしろから歩いてきたクラスメイトとちょうどぶつかってしまい、その勢いでスマホが私の手から離れ、床に落ちた。
「あっ、ごめん」
落ちたスマホを即座に拾い上げ、私の机の上に置いてくれたのは、生徒会長の上村恵茉さんだ。細いフレームの眼鏡をかけていて、黒髪を低い位置でひとつに結んでいる。
二年の時に同じクラスだったから、上村さんが成績優秀でみんなから頼られている存在だというのは知っているけれど、喋ったことはほとんどない。
「ごめんね、スマホ大丈夫?」
「……あ、えっと」
上村さんは心配してそう言ってくれたけれど、私は口ごもる。
「恵茉~、今日の小テストの範囲教えて~」
他のクラスメイトに呼ばれた上村さんは、「ちょっと待って」と言って、一度逸らした視線を私に戻した。
「ほんとにごめんね、壊れたりなんかあったら言ってね」
わざと落としたわけじゃないのに、上村さんはもう一度私に謝ってから自分の席に向かった。
ただひと言『全然大丈夫だよ』って言えばいいだけなのに、私の口はそんな簡単な言葉さえスムーズに出してくれない。
スマホを強く握りしめながら、情けない自分に対して心で大きなため息をついた。
希望の高校に入学してあっという間に高校三年生になってしまったけれど、今までより楽になるどころか、結局私は何も変われなかった。
思ったことをうまく言葉にできないし、伝えるのが下手で、何をするにもみんなより一歩遅い。
個性を尊重する自由な学校だとしても、私の場合は個性で片付けることができなくて、だから……苦しい。
服や髪色を変えるみたいに、性格も簡単に変えられたらいいのに……。
「おはよう、美羽」
沈みかけた顔を起こすと、前のドアから教室に入ってきた彩香が、アーモンド形の目をこちらに向けて手を振りながら近づいてきた。
私より背が高く、髪を高い位置でひとつに結んでいる彩香は明るい性格で、アイドルに詳しい。それから、もうひとり続いてやってきた小柄な由梨は、読書が好きで頭もよくて真面目だ。タイプが違うように見えるけれど、中学が同じだという彩香と由梨は、とても仲がいい。
そんなふたりとは二年の時から同じクラスで、運動が苦手だという共通点もあるからか、学校の中では唯一よく話をする友だちだ。
「おはよ」
気持ちを切り替えて手を振り返すと、彩香と由梨が私の席の横に立った。
「小テストあるのすっかり忘れてて、さっき上村さんたちが話してるの聞いて思い出したんだけど、最悪。由梨はやらなくてもできるだろうけど、美羽は勉強した?」
「あー、え、小テストは、あんまり……」
本当は結構頑張って勉強したのに、早く答えようと焦った私の口から咄嗟に出た言葉は、それだった。
「だよね。まーでもなんとかなるか。そんなことよりさ、昨日コンビニで坂口に会ったんだけど」
「嘘、コンビニって図書館の前の?」
「そうそう! しかも彼女っぽい子と一緒だったんだけど」
「ほんとに? 私も見たかったな~」
「中学の時あんなに地味だったのにね」
坂口って誰だっけ? 一瞬考えてしまったけど、どうやら中学の同級生のことらしい。
「ていうか彩香、今のうちにちょっとでもテストの範囲見ておいたほうがいいんじゃない?」
「あー、確かに。坂口とかどうでもいいか」
顔を見合わせて笑ったあと、ふたりは自分の席に戻った。
三人で話していても、私は聞いているだけの場合が多いし、ふたりにしか分からない会話をしている時は正直すごく距離を感じる。
だけど、それでいい。私が入ったところで会話のリズムを壊してしまうだけだし、喋らずに聞いているだけのほうが気持ち的にも楽だから。
他のクラスメイトは校風通り見た目も自由で、性格もみんなバラバラだけど、大きなトラブルなく無事三年生になった。
人付き合いがあまりうまくない私が、こうして平穏に高校生活を過ごせているのは、他の生徒とあまり深くかかわらないようにしているからだと思う。