“眞由が他人からのプレゼントを持ってるっていうのが、なんか嫌だった”――そこだけ聞いたら、まるで若菜が奥野のクラスメイトに焼きもちを焼いているように聞こえるから、ドキドキしてしまう。

でも、仮に若菜が焼きもちを焼ていたとしたって、それは奥野が期待しているような気持ちとは違うのだ。そんなことは、わかっている。
若菜は単に、一番近くにいて一番仲がいい幼馴染みとして、奥野が他の人と仲良くしていたりプレゼントを貰ったりするのが何となく気に入らないだけなのだ。
若菜には、そういう子供みたいな一面がある。

わかっているから、奥野はほんのちょっぴりも期待したりはしない。ただ、ドキドキしてしまうのはどうにも抑えようがないけれど。


「眞由、お弁当美味しかった。ご馳走様」


差し出されたお弁当箱を受け取って、奥野は「お粗末様」と笑顔を浮かべる。
例え進展することはない恋だって、こうして一緒にいられれば、それだけで幸せだ。
まあ、切ないような、寂しいような、そんな気持ちもないわけではないけれど。




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