お腹が痛い。痛い。痛い。
 蒼菜はいつだってああだ。私の成績も知っているくせに、私に憧れを抱いてくる。プレッシャーをかけてくる。自分の方が、ずっと凄いくせに。いっそ馬鹿にして、私の全てを否定してくれたらいいのに。
 早く夜になれ。
 早く夜になれ。
 早く夜になってくれ。
 ただただ、両手を合わせて祈ることしか出来なかった。
 晩御飯はいつも自分で用意をする。そう父に言われているから。言われなくても、母は私の存在を認知していないからいつだって三人分しか用意されていない。
 最初こそ蒼菜が無鉄砲にも質問していたが、父が黙らせた。だから、あの蒼菜もさすがに食卓では私の話をしなくなった。
 時間をずらして晩御飯を食べ、お風呂に入って眠りにつく。鎮痛剤を飲んだから腹痛は和らいできていたが、それでも貧血が酷かった。朝はこんなことなかったが生理の一日目はいつだってこうだ。夜にかけて辛くなってくる。ついでに気持ちも暗くなってくるものだから、早く眠りについた。
 夢の中は、保健室だった。ただ昼間と状況が違って、ベッドに横たわる望月くんを椅子に座って見下ろす私。恐らく、彼と彼女があの時していたように。
 最悪だ。よりによって、こんな、羨ましい青春。
 お腹は夢の中だからか痛くない。ただ、気持ちがずっと陰鬱で、よ、と寝転びながら片手を上げる望月くんを睨みつけた。