二人が育む恋の味おにぎり、今がその時! 青春が詰まってるおにぎり、風邪を引いたらお母さんが握ってくれるおにぎり、漆黒の病み期に突入おにぎり、お酒好きに食べさせても味がわかるおにぎり。上から順に、チョコ、鮭、梅、昆布、練りからしとチーズ。
店のキャッチコピーは、うそ! 食べなきゃ分からない? ハズレもありの焼きおにぎり屋になった。
「太郎さん、辛いの駄目なの」
耳打ちをしてくれた花乃子の情報のおかげで私のいたずら心に火がついた。
「じゃあお酒好きに食べさせても味がわかるおにぎりがおすすめです。ついでに考案はうちの担任です。花乃子には今がその時! 青春が詰まってるおにぎりがおすすめかな」
「じゃあ私はそれで」
オーダー用紙のメモ帳に書いて、屋詰さんを見ると彼は怪訝に私を見ていた。私はあくまでも平静を装い、どうしますか、ともう一度聞いてみる。
「……じゃあそれで」
私のおすすめを頼むのは癪だ、と言いたげな顔。ササッとメモ帳に書くと、今に見てろ、と心の内で悪態ついて調理班に手渡す。
出来上がった焼きおにぎりを二人のところに運び、サービスのほうじ茶とお茶が入ったポットを置いた。
「美味しそう。歩咲監修だもんね、美味しいんだろうな」
「期待に添えると思うよ」
珍しくはしゃいでいる花乃子に笑みを返して、きょろきょろ見渡したあとに私に視線を向けた屋詰さんを見た。
「何でこの席だけお茶のポットを置くんだ?」
「友人割り? みたいな。たーんと飲めるようにサービスです」
「ふうん? 頂きます」
よしよし食べた。もぐもぐとおにぎりを食べ進めながら、帰らない私を訝しげに見ている彼の顔が、途端に歪む。
店のキャッチコピーは、うそ! 食べなきゃ分からない? ハズレもありの焼きおにぎり屋になった。
「太郎さん、辛いの駄目なの」
耳打ちをしてくれた花乃子の情報のおかげで私のいたずら心に火がついた。
「じゃあお酒好きに食べさせても味がわかるおにぎりがおすすめです。ついでに考案はうちの担任です。花乃子には今がその時! 青春が詰まってるおにぎりがおすすめかな」
「じゃあ私はそれで」
オーダー用紙のメモ帳に書いて、屋詰さんを見ると彼は怪訝に私を見ていた。私はあくまでも平静を装い、どうしますか、ともう一度聞いてみる。
「……じゃあそれで」
私のおすすめを頼むのは癪だ、と言いたげな顔。ササッとメモ帳に書くと、今に見てろ、と心の内で悪態ついて調理班に手渡す。
出来上がった焼きおにぎりを二人のところに運び、サービスのほうじ茶とお茶が入ったポットを置いた。
「美味しそう。歩咲監修だもんね、美味しいんだろうな」
「期待に添えると思うよ」
珍しくはしゃいでいる花乃子に笑みを返して、きょろきょろ見渡したあとに私に視線を向けた屋詰さんを見た。
「何でこの席だけお茶のポットを置くんだ?」
「友人割り? みたいな。たーんと飲めるようにサービスです」
「ふうん? 頂きます」
よしよし食べた。もぐもぐとおにぎりを食べ進めながら、帰らない私を訝しげに見ている彼の顔が、途端に歪む。