───幸せを噛み締めて───
その日から光はちゃんと学校に来るようになり、僕は光に救われていると実感している。
光が学校に来るようになってからは周りに見せびらかすように僕とイチャイチャし始めた。
常に握手し、常にペアで今は行動している。
「もうすぐ文化祭だがウチのクラスは何をするんだ?」
「文化祭準備が楽なのがいいよなー」
各々文化祭の話で盛り上がる中、僕は光と机の下で手を繋ぎ、互いの温もりを実感していた。
「光は何がしたい?」
司会を務めているクラスメイトが光に意見を求める。
「んー、たこ焼き作って売るのは?」
「コスパ悪くない?」
「んー、思いつかないや!ごめんねっ」
「全然いいよー」
何をするのか話し合った結果"お化け屋敷"に決まった。

出し物がお化け屋敷に決まってからは大忙しだった。
光のガタイがいいので光は力仕事、僕は細々とした仕事を担当しているせいで光との時間が減ってしまっているのが寂しい。
だが、光との時間が全くない訳じゃない廊下をすれ違う時は皆には気付かれないようにハイタッチをしたり、手を振ったりしていた。
そうして忙しい日々が終わり、無事文化祭当日を迎えた。

"文化祭一緒に回ろうよ"
"おぉ"
「何見る?」
「俺はみーちゃんと一緒ならどこでもいい」
「みーちゃん?」
「他の奴が彼女のこと渾名で呼んでたから」
「そっか」
「なぁーなぁーみーちゃんって呼んじゃダメ?」
「いいよ」
「じゃあ、俺にも渾名付けて!」
「じゃあひーちゃんはどう?」
「いい!ありがとうみーちゃん♡」
そんな話をしながらのんびりふたりで過ごし、文化祭は幕を閉じた。

季節はすっかり冬になり、辺りに雪がちらついている。
「みーちゃん」
「どうした?」
「もうすぐクリスマスじゃん?クリスマス予定空いてる?」
「勿論、空いてるよ」
「よかったー!じゃあ、クリスマスデートして?」
そうしてクリスマスはふたりで映画を観たり、光の家に行ってゲームをしたりすることになった。

クリスマス当日、僕は身支度を素早く整えて早めに待ち合わせ場所へと向かう。
だが、それよりも早くに光は来ていた。
「早いな」
「だってみーちゃんに早く会いたかったんだもん」
「ひーちゃん…僕もひーちゃんに会いたかったよ!」
「じゃあ、行こうか。映画始まっちゃう」
「そうだな!」