───目障りな存在───
高校3年の春、今年も男だらけの孤独なぼっち生活を送るものだと思っていた。
だが、それは違っていた。
「なぁなぁ!俺村田 光!よろしくな!」
隣の席の男が馴れ馴れしく声をかけて来た。
「よろしく」
「君、名前は?」
「宮屋 雅」
「雅か!分った!」
光との出会いはそこだった。
正直、第一印象はうるさそうなやつでしかなかった。

5月、球技大会が間近に迫ったこの日
「よし!大会も近いし、練習試合すっかー!」
やる気の無さそうな先生の指示により急遽練習試合が始まった。

「おい!宮屋!」
無駄に気合いの入った男が僕に声をかけて来た。
「何?」
「お前、ちゃんと球技大会までにはトスぐらい上げられるようにしとけよなー痛かったぞ」
「うす。さーせん」
練習試合の結果は散々なものだった。
トスが上げられず味方にデッドボール
パスもコントロールが出来ずにデッドボール
バレーなのにドッチボールをしていたようなものだった。
「俺、特訓付き合うよ?」
隣の席の村田が今日も馴れ馴れしく声をかけて来る。
「ありがと、頼んでいい?」
普段ならウザくて仕方ないやつだがこの時ばかりは感謝すらした。
流石に味方にデッドボールをし続ける訳にはいかない。
こうしてふたりきりの特訓が始まったのだった。