─── 居場所 真陽side ───
その後、保健室のベットで休もうとベットに向かうと目覚めた"原"という男と目が合い俺が「大丈夫か?」と声をかけると
「すみませんでした!楽しい試合になるはずだったのに僕のせいで…」
と、ベッドの上で土下座をする。
「あぁ、いーよいーよ…元から俺は数合わせで出てただけだしやる気もなかったから」
「…ありがとうございます。先輩、優しいですね」
「んなこと…」
人からそんなことなんて言われたのは初めてだった。
俺はその初めての体験に戸惑いと照れが入り交じって変な返事を返す。
そもそもここはありがとうと言うべきだったのか?とも思いつつもそのまま話を流すと
小さな彼の顔は眉を八の字に曲げ申し訳なさそうにこちらを上目遣いで見つめていた。
彼は何をして欲しいんだろうか、そして俺は何がしたかったのだろうか
俺はいつの間にか眉を八の字に曲げ泣き出しそうな彼を抱きしめ頭を撫でていた。
「あっ…ごめ…」
俺が気付き焦って離れようと彼の胴体から手を離すと小さな彼は俺の胴体を抱き寄せた。
「ちょ…!?」
「もう少し…このままで居させて…ください…」
そして俺はこの不思議な時間を彼の小さな息遣いを聞きながら泣き出しそうな彼に声をかけた。
「どうした?」
「また…役立たずってみんなに言われてしまうのかなって思うと教室に戻りたくなくて…殴られるし…っ」
と泣き声を上げたいのを我慢しながら話彼の弱音を聞き俺はまた頭を撫でつつ言っていた。
「だったら毎日ここに来なよ。俺も教室よりここが居場所だし」
「…っはい!」
彼は心の荷が降りたのかほんの少しだけ微笑みを見せる。
俺はその笑みを見てとても安堵していたのだった。

「お、目覚めたか」
「嬉納先生、ちょっとだけいいですか」
保健室に帰還したきぃやんの白衣を掴み原という彼はぐいぐいと引っ張って保健室を出た。
恐らく教室に戻りたくないと保健室登校をしたいと言っているのだろうと予想しながら俺は珍しく沢山動いたので大きな欠伸をしながらソファーで寝そべってスマホを見ると…
【また会って話せない?私は諦める気ないから】
と元カノの紗綾からのLINEが来ていた。