───球技大会 翼side───
球技大会当日、俺はそのままサボっても良かったが担任の粋(嫌味か)な計らいにより、最低人数ギリギリでチームを組んでいたので俺が抜けるとバスケチームは出場停止になってしまうので人情で参加している。
体育館に着くと、蒸し暑空気が漂う。
「おーし!やるかー!」
リーダー格の沢田が鶴の一声でクラスメイトの士気を高める。
そして試合が始まった。

試合相手に俺は知り合いを見つけた。
保健室で会った中学生のような背丈で無造作に毛先が跳ねている彼だった。
そして今日もとても顔色が悪そうだった。
「おい!原!」
原と呼ばれた保健室で会った彼はフラフラとしつつもなんとか気合いで乗り越えていた所をボールが顔面に当たり倒れてしまった。
「ったく、またかよー」
「運動音痴な上に病弱とか使えねーなあ!?」
「……」
どうやらあの原と呼ばれた彼は気絶しているらしい。
その後気絶した彼を同級生達は笑い、誰も彼を介抱しようとはしなかった。

「先生、俺保健室に運んで来ます」
彼の待遇に耐えかねて俺は彼を保健室へと送り届け、サボることにした。
「おぉ、行ってこい。試合再開すっぞー!代わりに誰か入って……」
審判の声が遠ざかり俺は本当に男かと疑う程軽い彼を抱えて保健室へと辿り着くときぃやんは不在だった。
彼をベットに寝かせ、彼の頭を撫でる。
俺は一人っ子だから弟が居る生活とか考えられないけど、きっと弟とかが居るとこんな風に男の頭を撫でることもあったのだろうか…
って何を考えてるんだ&何をやってるんだ俺!?と悶々としながら彼の頭から手を離す。
そして試合終わるだろう時間に合わせ逃げるように保健室を出て体育館へと足を向けた。

体育館へと近づくと審判が原のクラスが試合に勝ったことを告げていた。
試合の行方を確かめた俺はそのまま保健室へと踵を返そうとした時
「あれ?お前バスケ出てなかった?」
後ろからきぃやんに声をかけられた。
「見に来てたんだ」
「おぉ。それにあいつも出るって言ってたしな…でも、居ないんだよ休みか?」
「原って子なら保健室だよ」
「あぁ、運んでくれたんか」
と納得した様子のきぃやんはそのまま踵を返し歩き出す。
俺はその後ろ姿を追いかけた。