─── 破滅と雪解け 翼side ───
サークル内のあちこちから賑やかな声が聞こえて来る。
俺は自分が所属している小説愛好家の集まるサークル『物語り』の部室に入室した。
今年の文化祭の催し物は『個人的なお気に入りの本の紹介』または『自分で小説を書こう』になった。
「なぁ、出来たか?」
「あぁ」
「しっかし、びっくりだぜ。お前、あの柚羽ちゃん振ったの?」
「あぁ」
「あんなに可愛いし仲良かったのにー。何だよ喧嘩でもしたか?」
「そんなんじゃねーよ」
友達を適当にあしらい、自分の展示物を飾っていると柚羽がやって来た。
「やっほ〜!」
「「やっほ〜!柚羽ちゃん!」」
その場に居た俺以外の男子が食い気味に柚羽に挨拶をする。
柚羽は「やっほ〜」と適当に流し俺の隣に来て自分の展示物を飾り始める。
「…整理出来たか?」