─── 友達のままで 翼side ───
真陽とのデート当日柚羽からメッセージが届いた。
"急にごめんね。週明けのテスト勉強翼の家で勉強会したいから今から行ってもいい?"
"今日予定あるから無理"
"そんなこと言わずにさー入れてよーもう目の前まで来てるんだし、30分だけでいいから"
の後にすかさずお願いと上目遣いのキャラクタースタンプが来る。
玄関のチャイムが鳴り柚羽が家へと上がり断れず勉強会が始まった。

30分後
「なぁ、もう30分経ったし終わりに…」
「待って、あとココだけでも教えてー?」
上目遣いでお願いと訴えて来る
「30分の約束だろ?本当に予定あるんだって」
「…テスト以上に大事なの?」
「あぁ」
「彼女居たの?」
「…」
女の子ではない…けど、まぁ彼女ってことにしとこう似たようなものだ。
俺は今言いたいことを飲み込み無言を貫く。
「なるほどね」
柚羽は納得したように大きく頷き言った
「だったら私も言わないとね」
「…?」
「私、翼のことが好き。付き合って欲しい」
「…は?え?」
あまりにもサラッと言うので驚きつつ思わず聞き直す。
「だから…好きだから付き合って欲しいって言ってるの」
「…?!?!」
「でも、答えは分かってるよ。無理なんでしょ」
「あぁ……ごめん」
「いいよ…悔しいけど仕方ない…っもんね…」
言葉に詰まりながら柚羽が言う。
俺はこれ以上かける言葉が思いつかず沈黙が辺りを包む。
「……」
その日は結局勉強など手に付く訳もなくその日は勉強会は中止になり、俺は真陽とのデートを断り夜に柚羽からこれからも友達で居て欲しい、気持ちの整理が出来るまでは会わないでおきたい…と。