「はい、では三年八組、初めての席替えを始めたいと思います。
まずは…」
と小谷先生が取り出したのは、ただの白い紙。
「この紙に40本の線を引き、片側に数字を記入します。
数字を書いた側を折って、数字が見えない状態にしてからこの紙を回していくので、
もう片側に名前を書いてください。」
つまり、あみだくじ。
(あみだくじで席を決めてしまうの…?)
そう思ったのは私だけではないみたいで、
「先生、自分たちで相談して席を決めてはいけないですか?」
挙手をした五十嵐君が先生に尋ねる。
うーん、そうですね…と少し考えた後
(考えるフリをした後)
「それだと、仲のいい人たちでかたまってしまうことが懸念です。
席替えの目的として、今まで関わっていない人と話す、というものも含まれますからね。」
と小谷先生がもっともらしい答えを返す。
その答えに、友達同士近くの席がいいなと思っていた生徒らはギクっとしたのであろう、
冷たい空気が教室を通過する。
そんな雰囲気を感じたのか、
いえ、ですが…と折れない五十嵐君を置いて、
「数字は嘘をつきません。
数字の示す運命に任せてみるのも人生には一回くらい必要ですよ。」
と笑った先生が紙を回し始める。
(ここにきてやっと数学の先生らしいことを言ったな、この先生。)
と思いながら、あみだくじの紙を受け取る。
どこに名前書くー?
ね、隣に名前書いたら近くなるかな?
いや、ばか、そんなの遠くなるに決まってるじゃん!
口々にあみだくじの行先を案じているクラスメイトをよそに、
トップバッターで名前を書く。
(どこに書いても、決まっていることは決まっているし…)
紙の一番左に名前を書いて、後ろの人に回す。
名前を書いて、クラスメイトに紙を渡す。
この単純作業は軽く三十分もかかった…
まずは…」
と小谷先生が取り出したのは、ただの白い紙。
「この紙に40本の線を引き、片側に数字を記入します。
数字を書いた側を折って、数字が見えない状態にしてからこの紙を回していくので、
もう片側に名前を書いてください。」
つまり、あみだくじ。
(あみだくじで席を決めてしまうの…?)
そう思ったのは私だけではないみたいで、
「先生、自分たちで相談して席を決めてはいけないですか?」
挙手をした五十嵐君が先生に尋ねる。
うーん、そうですね…と少し考えた後
(考えるフリをした後)
「それだと、仲のいい人たちでかたまってしまうことが懸念です。
席替えの目的として、今まで関わっていない人と話す、というものも含まれますからね。」
と小谷先生がもっともらしい答えを返す。
その答えに、友達同士近くの席がいいなと思っていた生徒らはギクっとしたのであろう、
冷たい空気が教室を通過する。
そんな雰囲気を感じたのか、
いえ、ですが…と折れない五十嵐君を置いて、
「数字は嘘をつきません。
数字の示す運命に任せてみるのも人生には一回くらい必要ですよ。」
と笑った先生が紙を回し始める。
(ここにきてやっと数学の先生らしいことを言ったな、この先生。)
と思いながら、あみだくじの紙を受け取る。
どこに名前書くー?
ね、隣に名前書いたら近くなるかな?
いや、ばか、そんなの遠くなるに決まってるじゃん!
口々にあみだくじの行先を案じているクラスメイトをよそに、
トップバッターで名前を書く。
(どこに書いても、決まっていることは決まっているし…)
紙の一番左に名前を書いて、後ろの人に回す。
名前を書いて、クラスメイトに紙を渡す。
この単純作業は軽く三十分もかかった…