妃詩は、詩をきっかけに家族との関係を修復しようとしていた。
今日は、置き手紙でつながる関係だった父親におばあちゃんのところに行こう、と誘った。
驚いたようだったが、すぐに頷いてくれた。
妃詩は祖母と面会した。
「おばあちゃん、、。」
「あぁ、ひなちゃん。よく来たね。」
「おばあちゃん、、。」
数年振りに会えた。懐かしい、優しい顔を見れただけで、妃詩は嬉しかった。
「元気にやってるかい?」
などと、他愛のない話をした。
「ひなちゃんは、将来なにするの?そろそろ進路決める時期でしょ?」
きた。絶対、この時期に此処に来たら、訊かれると思っていた。
妃詩は意を決し、口を開く。
「あ、あのね。2人に聞いて欲しいことが、あるんだけど。」
2人は改まって言う妃詩を驚いたように見つめた。
「私、、詩を、描く人になりたい。」
「「、、?」」
2人はポカンと首を傾げた。
「だ、だからね、友達に背中を押されて、詩を描いてみたんだ。そしたら、別の友達に、歌手の子がいるんだけど、その人に、音をつけてもらったの。で、歌にしてくれたの。それが、本当に嬉しかった。だから、歌詞を書く人、作詞家に、なりたい。」
「作詞家、、。初めて聞いた。」
「うん、、だって、初めて言ったもん。」
「大変なんじゃないのか?なれなくても、後悔しないか?」
心配そうに早口になりながら父親が訊く。
「大変かもしれない、、。でも、私、やっと前に進めたの。やってみたいって、挑戦してみたいって、こんなに思ったの、、初めてなんだよ。だから、挑戦させてください!」
頭を勢いよく下げた。
「違う!」
突然、父親が声を荒げた。
そして、すぐに慌てたように続けて言った。
「挑戦をしたけれど、もしかしたら叶えられないかもしれない。叶えられなくても、大丈夫かって父さんは訊いてるんだ。もし、失敗して、また、、いなくなろうとしないかって、訊いてるんだ。」
「!?」
妃詩は息を呑んだ。
心配、してくれていたんだ。本当に、なんで、あんなことしちゃったんだろう、、。
今更ながら、妃詩は、自分の行いを悔いた。
「あの時は、ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。私、あの頃ね、生きる意味が、わからなくなっちゃったんだよね。でも、もう大丈夫。隣にいてくれる人が、たくさんいるから。私のことを、繋ぎ止めてくれるから。もちろん、私自身もちゃんと地面に立って、踏ん張るから。叶えられなくても、いなくなったりしない。絶対、叶えるけど。」
心の内を打ち明けた。
「そうか、お前の心はわかった。頑張りなさい。応援してるから。しんどくなったら、早く言ったらいいからな。」
「おばあちゃん。応援するよ。あなたが中学の頃は、疎遠になってたから、悩んでいたことに気づけなかった。これからは、いつでも、来ていいからね。あなたが、作詞家になるまで、おばあちゃん頑張るから。あなたが夢叶えた姿、目に焼き付けたいから。」
2人はにっこりと優しく微笑んだ。
「ありがとう、、。」
妃詩は、嬉しくなって、はち切れんばかりの笑顔を見せた。
「本当に、ごめんなさい。いろいろ心配かけて。」
改めて謝った。
「そうやって、迷っていくの、生きるってことなんだから。大丈夫よ。」
「母さん、なんか、迷える方の迷言出てるぞ。」
「失礼ね!」
2人の会話に妃詩は思わず吹き出した。
2人は、体を硬直させて、妃詩を眺めた。
そして、つられたように2人も笑い出した。
家族と、置き手紙だけの関係じゃなかった。
ずっと、家族だったのに、家族に、それ以上も以下もないのに、私が、勝手に思い込んでただけだった。
ずっと、2人は見守っていてくれていたんだ。
私が気づいていなくて、歩み寄れていなかっただけだったんだ。
ずっと、一緒だったんだ。
そう思えた妃詩だった。
今日は、置き手紙でつながる関係だった父親におばあちゃんのところに行こう、と誘った。
驚いたようだったが、すぐに頷いてくれた。
妃詩は祖母と面会した。
「おばあちゃん、、。」
「あぁ、ひなちゃん。よく来たね。」
「おばあちゃん、、。」
数年振りに会えた。懐かしい、優しい顔を見れただけで、妃詩は嬉しかった。
「元気にやってるかい?」
などと、他愛のない話をした。
「ひなちゃんは、将来なにするの?そろそろ進路決める時期でしょ?」
きた。絶対、この時期に此処に来たら、訊かれると思っていた。
妃詩は意を決し、口を開く。
「あ、あのね。2人に聞いて欲しいことが、あるんだけど。」
2人は改まって言う妃詩を驚いたように見つめた。
「私、、詩を、描く人になりたい。」
「「、、?」」
2人はポカンと首を傾げた。
「だ、だからね、友達に背中を押されて、詩を描いてみたんだ。そしたら、別の友達に、歌手の子がいるんだけど、その人に、音をつけてもらったの。で、歌にしてくれたの。それが、本当に嬉しかった。だから、歌詞を書く人、作詞家に、なりたい。」
「作詞家、、。初めて聞いた。」
「うん、、だって、初めて言ったもん。」
「大変なんじゃないのか?なれなくても、後悔しないか?」
心配そうに早口になりながら父親が訊く。
「大変かもしれない、、。でも、私、やっと前に進めたの。やってみたいって、挑戦してみたいって、こんなに思ったの、、初めてなんだよ。だから、挑戦させてください!」
頭を勢いよく下げた。
「違う!」
突然、父親が声を荒げた。
そして、すぐに慌てたように続けて言った。
「挑戦をしたけれど、もしかしたら叶えられないかもしれない。叶えられなくても、大丈夫かって父さんは訊いてるんだ。もし、失敗して、また、、いなくなろうとしないかって、訊いてるんだ。」
「!?」
妃詩は息を呑んだ。
心配、してくれていたんだ。本当に、なんで、あんなことしちゃったんだろう、、。
今更ながら、妃詩は、自分の行いを悔いた。
「あの時は、ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。私、あの頃ね、生きる意味が、わからなくなっちゃったんだよね。でも、もう大丈夫。隣にいてくれる人が、たくさんいるから。私のことを、繋ぎ止めてくれるから。もちろん、私自身もちゃんと地面に立って、踏ん張るから。叶えられなくても、いなくなったりしない。絶対、叶えるけど。」
心の内を打ち明けた。
「そうか、お前の心はわかった。頑張りなさい。応援してるから。しんどくなったら、早く言ったらいいからな。」
「おばあちゃん。応援するよ。あなたが中学の頃は、疎遠になってたから、悩んでいたことに気づけなかった。これからは、いつでも、来ていいからね。あなたが、作詞家になるまで、おばあちゃん頑張るから。あなたが夢叶えた姿、目に焼き付けたいから。」
2人はにっこりと優しく微笑んだ。
「ありがとう、、。」
妃詩は、嬉しくなって、はち切れんばかりの笑顔を見せた。
「本当に、ごめんなさい。いろいろ心配かけて。」
改めて謝った。
「そうやって、迷っていくの、生きるってことなんだから。大丈夫よ。」
「母さん、なんか、迷える方の迷言出てるぞ。」
「失礼ね!」
2人の会話に妃詩は思わず吹き出した。
2人は、体を硬直させて、妃詩を眺めた。
そして、つられたように2人も笑い出した。
家族と、置き手紙だけの関係じゃなかった。
ずっと、家族だったのに、家族に、それ以上も以下もないのに、私が、勝手に思い込んでただけだった。
ずっと、2人は見守っていてくれていたんだ。
私が気づいていなくて、歩み寄れていなかっただけだったんだ。
ずっと、一緒だったんだ。
そう思えた妃詩だった。