お邪魔すると家の中は真っ暗で、電気がようやく点くと、シンクに食べカスが沢山ついたお椀やお皿が積まれていた。
手洗いより先にシンクに向かった秋山くんは、顔色一つ変えずにスポンジに洗剤をつけて泡立てている。
何も言わないし態度にも出さないけど、秋山くんのオーラが黒くなったのが分かった。
寂しいのに寂しいと言えず、洗い物ぐらいしておけと怒ることもしない。
「…秋山くん」
「ごめん。テレビ見ててくれて良いから。お茶淹れるわ」
謝らないでよ。秋山くん、何か謝ることしたの?
俺には、本音をぶつけてくれて良いんだよ?そのために俺が居るし、俺は秋山くんのそういう存在になりたい。



