(はく)ちゃんが大好き。

 この想いはきっと変わらない。

 ずっとこの先、白ちゃんの気持ちが変わらなくても、わたしは彼が大好きだ。

 いつか白ちゃんに本当に大切に思える人ができて、彼を諦めるしかなくなる日がきたとしても。

 その日まで、わたしは白ちゃんのそばにいる。

 わたしは白ちゃんが好き。大好き。

 絵に描いたような白い雲と青空の下、川沿いに立ち、宝石のように輝く水面が光っていたその前で涙を流している男の子。

 何に涙をしているのかはわからない。

 ただただ一点先の景色を眺め続けている。

(何を見ているんだろう?)

 暑い暑いと言いながら帰ってきたおつかいの帰り道だったのに、そんなことはすっかり忘れ、吸い込まれるように彼から目が離せなくなった。

(泣いているのに、美しい……)

 その空間だけが、まるで別の世界のように思えた。わたしの中で、音が止まる。

 隣のクラスの人だ、と思ったときから、もうわたしは彼のことしか考えられなくなっていた。

 あのとき、わたしは恋に落ちた。

 そんな表現が、きっとしっくりくる。

 それからは何度も川沿いの道を歩くようになった。

 二度目に彼を見かけた時は泣いていなくて、何かを一生懸命ノートに書いていた。

 いや、描いていたのだ。

 初めて声をかけたあの日から、少しずつ少しずつ彼を知る中で、彼が絵が好きで、普段からスケッチを楽しむ人なのだということを知った。

 川沿いの道を歩くのが好きになった。

 白ちゃんいるかな?と、わたしにとっては勝手に思い出の道となっていたからだ。

 ねぇ、白ちゃん。

 なにがあったの?

 ずっとずっと聞きたかった。

 でも、わたしにはそれを聞く権利がない。

 心を開いてもらえないうちは、たとえ大好きな相手でも深く立ち入ることはできない。それはわかりきっていること。

 それに、白ちゃんはきっとわたしには悲しいことは言えないだろう。

 出会ってから今まで、彼の前でそんな空気を作ることがわたしにはできなかったのだから。

 明るく明るく接してしまったせいでわたしには大切な話をしづらいはずだ。

 それでも、それでもきっといつか、あなたの心の支えになれるような人になりたい。

 そう願い、今日もまた明日に向かって新しい一歩を踏み出す。