土曜の午後、迅堂くんを我が家に招いて一緒にテスト勉強をした。亜衣の部屋だと漫画やゲームなどの気が散るアイテムが多過ぎるから僕の部屋で。

「だから、この公式さえ覚えておけば、あとは数字を当てはめて計算するだけなんだよ」
「なるほど?」
「何度も解いて頭に叩き込むしかないんだよね。二人ともやってみて」
「はぁい」
「分かった」

 折り畳みの机を部屋の真ん中に置き、隣り合って座る二人の前で解説する。あらかじめ用意しておいたプリントをやらせ、間違えたところを教えていく。コツを掴めば、計算ミスさえしなければ赤点は免れるはずだ。迅堂くんは理数系は割と強い。一度理解してしまえば大丈夫。問題は集中力がない亜衣のほうだ。

 テスト範囲は少し違うけど、教えることで僕の復習にもなる。二人が問題を解いている間に自分の勉強もできるからね。

 それにしても、迅堂くんが僕の部屋にいるの新鮮だな。家に遊びに来ても、いつもはリビングか亜衣の部屋ばかり。僕の部屋に入ったのなんて小学生の頃以来かもしれない。

「瑠衣ぃ、ここ分かんねー」
「どこ? ああ、これはね……」

 たまに呼ばれ、つまづいた部分を見て要点を教える。隣に座り、肩が触れそうになるだけでドキドキしてしまう。勉強会、開いて良かった。