「吸血鬼なんてみんな、そういうもんだ。……所詮、自分が生き抜くためには手段なんて選ばない。結局は、自分が一度大事だってことだよ」
「でもだからって……こんなのあまりにも、ひどすぎるよ……」
私たち人間が吸血鬼に何かした? 何か悪いことした?
人間はみんな正しく生きている。 吸血鬼なんかにされるようなこと、何もしていないのに……。
なんでこんなことになるのだろうか。 おかしいよ、こんな世界。
「………」
桜木は複雑な表情をしていた。 言葉をその後、何も語ろうとはしなかった。
「帰ろう、真琴。 傷の手当をしないと」
「……うん」
「歩けるか?」
「大丈夫」
私たちは、倉庫を出てゆっくりと歩き出した。
不安を抱える私の手を、優しい桜木の手がしっかりと握ってくれる。
それだけで私は、不安が少し消えたような気がした。 少しだけ、少しだけだけど。
「ねえ、桜木……」
「ん?」
「桜木は……死なないよね?」
仁君が死んだと知って、不安になった。もしかしたら、桜木も死ぬんじゃないかって……。
「俺はお前がいる限り、絶対に死なない。 お前を守り抜くまで、絶対にだ」
「……うん」
こうして一つ一つの不安をゆっくり取り除いてくれる桜木が、私も好きなんだと気づいた。
桜木がいるこの世界は、私にとって試練になるかもしれない。 それでも私は、桜木と一緒にいたいと思ってる。
例え辛くても、例え苦しくても、桜木となら一緒なら乗り越えられる気がするんだ……。



