「真琴、大丈夫か!? ケガは……?」

  桜木が私の体にそっと触れる。

「ううん……大丈夫」

「そっか、よかった……。遅くなって、ごめん」

  桜木は優しく私を抱きしめてくれた。 その温もりは温かくて、とても優しくて心地よかった。

「……遅いよ、バカ。 ずっと待ってたんだよ……私」

「悪かった。ずっと連絡しないでごめん」

「……心配、したんだから」

 私が桜木に抱き着くと、私は「心配かけて、悪かった」と抱き締め返してくれた。

「でも……ちゃんと、助けに来てくれた」

「当たり前だろ。守るって約束したんだから」

「……うん」

 私はこの桜木の温もりが好きなんだ。 桜木のことを思っていたんだ、私は。

「お前……ひざ、擦りむいてる」

 桜木が私の傷口を心配そうに見ている。

「こんなの、大したことないよ。 かすり傷だから、平気」

「……そっか」

「うん。心配しないで」

 だけど一瞬、桜木の表情が曇った気がした。

「……桜木、あの、仁君……は?」

 聞きたくない。でも、聞かなきゃ……。
 だってこれは、私だけの問題じゃないから。

「……死んだ」

「え……? 死んだ……?」

 死んだって……どういうこと?

「え、どういうこと……?」

「俺にも分からない。……突然笑いだして、その後急に苦しみだした」

 え、苦しみだした……?

「アイツは元から吸血鬼だった訳じゃない。……恐らく、誰かに血を吸われて魂を抜かれた。それで吸血鬼にされた。 だから、ヤツには吸血鬼だという記憶はないはずだ」

 えっ……そんな……。