一応、私は隠れられそうな場所を探しに走った。
とにかく、どこでもいいから隠れないと……。

「ここなら……」
 
 よくわからない倉庫の中へと入り、身を潜める。
 きっと必ず桜木が来てくれると信じて、その場所でひたすら待つことにした。

「……っ、しっかりしろ、私」

 桜木が来てくれるんだから、しっかりしないと。
 どのくらい経ったのかもわからない。 ただただ時間だけが過ぎていって、今何時なのかもわからない。

 ひたすら待つことがこんなに長いなんて、思わなかった。 お願い、早く来て……。
 何もできず、そう祈ることしか出来ない。 来てくれると信じて、ひたすらに待ち続けるしか、今は出来ない。

「桜木……早く」

 ーーーでもその時だった。

 ガタンッ!

「……っ!!」

 なにか大きな音が聞こえた。

「え?……なに?」

 なんなの?……誰かいるの? そう思うと、足がガクガク震えてしまう。 
 恐怖と不安にかられて、ただただ身を潜めて、声を出さないように口を抑えて、息を殺すことしか出来なかった。

「っ……」

 ただただ声を押し殺して、唇をグッとを噛みしめるしかなかった。
 お願い桜木、早く来て……。そう祈ることしか出来ない。

 そして足音がどんどんと、こっちに近づいてくるのがわかった。

「……っ!」

 ヤバイ……! そう思った時だった。

「真琴、無事かっ……!?」

「……桜木? 桜木なの?」

 そこにいたのは、ずっと待っていた私が来てほしい人だった。
 守り抜いてみせると、そう言ってくれた人だった。