あんな顔した桜木は、初めて見たかも。 今まであんなに感情的になったことなんてなかった。
それほど焦ってるんだろうな、きっと……。だって吸血鬼が、私たちの周りに現れはじめたんだから。
落ち着いてられる訳もないし、焦る気持ちもわかる。……私たちにまで被害が及んだら、私たちはどうしたらいいんだろう。
どうすれば桜木のためになるのかな。 どうすれば桜木の役に立てるの?
桜木……死んだりしないよね? そんな不安が襲ってくる。
✱ ✱ ✱
その後桜木も授業には出ていたけど、ずっと上の空だった。
「桜木?」
「………」
ホームルームが終わり桜木に声をかけるけど反応はない。
「おーい。桜木っ!」
「……え? あ、ごめん。呼んだか?」
「ホームルーム終わったよ」
私がそう言うと、桜木は「……ああ、そうか。 一緒に、帰るか?」と聞いてくれるから、私は「うん、帰りたい」と伝えた。
でも桜木の表情が険しくて、なにか思い詰めてるような顔をしていた。
「……ねぇ、桜木」
「ん?」
私は校門でスニーカーに履き替える。
「私たち、これからどうなるの……?」
「……どうって?」
歩きながら桜木にそう問いかける。
「私たち、死ぬの?……吸血鬼に、殺されるの?」
桜木は私の手をギュッと握り締めると「バカやろう。……絶対に死なせないって、言っただろ」とその手を強く握る。
「……本当に、信じていいんだよね?」
「ああ、信じろ」
「……桜木も、死なない?」
「ああ、死んだりなんかしねぇよ」



