「……え?」

「俺がずっと真琴に恋してるってこと、いい加減気付けよバカ」

 恋してる……。私に、桜木が……?

 まだ信じられない。 本当に……?

「そんなこと、言われても……」

「例え真琴がヴァンパイアになったとしても、俺ににはそんなこと関係ない。……一人の"男"として、真琴が好きだ」

「っ……」

「だから俺に、そんな態度とるな」

 私は桜木に抱き締められた。 でもそれを拒むことなんて、私には出来なかった。

「……ごめん」

「俺の方こそごめん。好きだと言ったら、真琴のことを困らせることはわかってた。……だけど、抑えきれなかった」

 桜木の腕の中で聞こえるのは、桜木の心臓の音だった。 心なしか、桜木の鼓動が早くなったように感じる。

「いきなりこんなこと言われても……困るよな」

「……うん、ごめん」

 違う、そうじゃないんだ……。困るとか、じゃないんだ。

「謝ることない。 驚かせてごめん」

 私は桜木から離れると「ご、ご飯……食べよう」と座った。

「ああ。……そうだな」

 結局私は、告白の返事をすることが出来なかった。

 その時、"バンッ"と屋上の扉が開いた。

「っ……!?」

「あれっ、桜木くんに真琴?……え、なに?二人でご飯食べてるの?」

「えっ、あっ……うん」

 屋上に入ってきたのは、彼氏とご飯を食べているはずの萌恵だった。

「いいね、仲直りしたんだ!」

「いや、仲直りっていうか……」

 そもそもケンカは……してないし。

「てか萌恵、どうしたの?彼氏と一緒だったんじゃないの?」