吸血鬼(ヴァンパイア)ーーー。

 そんなもの存在するわけがないと、私はずっと思っていた。 そんなものはおとぎ話の話だと。
 でも今になって、吸血鬼がほんとにいるんだとわかった。
 信じられないし、信じたくないけど。でも桜木の話だと本当みたいだし。

 とにかく今は、目の前にいるコイツが吸血鬼(バンパイア)だってことが問題だ。
 もしコイツがヴァンパイアだなんて知られたら、必ず犠牲者が出るかもしれない。

「とにかく、私は絶対に約束を守る。 だからアンタもヘタな真似はしないで」

「わかってるよ。バレたら俺の命、なくなるかな」

 なくなるのは、私たちの命だと思うけど。

「……それにしても」

「なんだ」

「アンタが吸血鬼だってことは信じた。 でも証拠がないじゃない」

 私がそう言うと、桜木は「証拠……?」と顔をしかめる。

「アンタがほんとに゙ヴァンパイア゙だっていう証拠よ」

「あのなぁ、今の話で充分わかっただろ?」

「わかったわよ。 でもアンタが吸血鬼だったとして、その証拠がなきゃ信じられないでしょ?実際に」

「……まぁそうだけどよ」

「でしょ?だったら証拠を見せてよ」

 と言ったが、桜木は「そんなこと言われてもな……」と顔をしかめる。

「ていうか吸血鬼ってことはさ……もしかして満月とか関係ある?」

「はあ?」