「ふーん?」

 萌恵はニヤニヤしている。

「な、なに……?」

「お似合いだよ、真琴と桜木くん。ベストカップルだと思うよ」

 私は恥ずかしさから「や、やめてよ。……からかわないで」と机に突っ伏した。
 その後チャイムが鳴り、授業の始まりを知らせる。


✱ ✱ ✱


「萌恵、一緒にご飯食べよう」

 お昼ご飯の時間になり萌恵をご飯に誘うと「あ、ごめん! 今日彼氏とお弁当食べる約束してるんだ」と断られてしまった。

「そうなんだね」

「本当ごめん! じゃっ!」

 萌恵はカバンを持ち、そのまま足早に教室を出て行った。
 私も教室で食べる気にはなれず、カバンを持ち屋上へと上がった。
 幸い屋上には誰もいなくて一人だから、考えごとするにはもってこいの場所だった。
 
「いただきます」

 お弁当を広げていると、屋上の扉が空いた。

 誰か来たのかと思い振り返ると、そこにはーーー。

「こんなところで何してんだよ」

「……え? さ、桜木っ!」

 桜木が私の元へ歩み寄っていた。

 な、なんで桜木がここにいるのよ……!

「俺も一緒に食べていいか?」

「えっ」

 隣に座った桜木が私を見る。

「……っ!」

 やばっ! また目が合った……!

「なんだよ」

「べ、別に……」

 私はお弁当箱からサンドイッチを取り出し、かぶりつく。

「それ、美味い?」

「……え?」

 桜木が私の食べているサンドイッチに、視線を向ける。

「美味しい……よ」

「俺にも一口ちょうだい」

「はっ? っ……!?」