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「……おい、真琴」

 私は桜木のことが好き……なの? 本当に好きなのかな。

「おい、真琴」

 いやいや、でもそんなことありえない。……だって私たちは、ただの友達だし。
 お互いに助け合っているクラスメイトで、それ以上でも以下でもないと思ってた。

 だって桜木は吸血鬼(ヴァンパイア)で、私は人間。
 お互い好きになることなんて、ないと思ってた。……友達だから。
 でも桜木は前に私に言っていた。 私のことは友達以上だと思ってる……って。
 友達以上って……どういう意味なのだろうか。あの言葉の意味が未だにわからない。

「おい、真琴!」

「へっ……!?」

 気が付いたら、桜木が隣にいた。

「なにぼんやりしてんだよ。帰りのホームルーム終わったぞ?」

「えっ……ああ、うん」

 や、やだな、私……。なに考えてんの!

 急に桜木のこと意識するなんて……私らしくない。 でも私、桜木とのキス……イヤじゃないんだよね。
 だって私から何回かしたし、桜木からだってキスを……。でも私は、イヤな気持ちなんてなかった。
 友達なのにキスなんて、確かにおかしいよね。

 ダメだ、やめよう……。私たちは友達だから。 それ以上でも以下でもないんだし。

「どうした?具合でも悪いのか?」

「あ……ううん、なんでもない。 じゃあ私、今日用事あるから帰るね!」

「はっ? あ、おい!」

 なんかわからないけど、急に恥ずかしくなって桜木から逃げるように帰ってしまった。