命の危機にあったところを、桜木に助けられた。

「……桜木?」

「どうした……?」

「……私、死なないよね?」
 
 私は死ぬのだろうか……。変な男に連れ去られて、ヴァンパイアの血を飲まされてしまった。
 体を縛られ身動きも取れなくて、意識を失った。

「……え?」

 なのに桜木は、私を必死で助けてくれた。

「私の中には、バンパイアの血が流れてるんでしょ?……いつかは私もヴァンパイアになるんじゃないかって、不安なの」

 ヴァンパイアの血を飲まされてしまった今、私いつヴァンパイアになってもおかしくないってことだ。
 
「大丈夫だ、心配すんな。……お前はヴァンパイアになったりしない」

「……本当に、信じていいの?」

「ああ。……俺を信じろ」

 私は桜木に「……わかった」と返事をした。

「不安なのは俺もだ。……でもな、俺はお前を俺と同じヴァンパイアには、させたくない」

「……桜木……っ」

 桜木はそんな私の頬を撫でて、いつの間にか流れた涙を優しく拭ってくれる。

「だから俺を信じろ。……いいな」

 私が優しく頷くと、桜木は私の唇に優しくキスを落とす。
 私もまた、その目を閉じた。

「……桜木、ごめんね」

「え……?」

「……私のせいで、桜木のこと、傷つけてごめんね」

 私は桜木に迷惑ばかり掛けてる……。

「何言ってんだよ、お前はなにも悪くない」

 私と一緒にいたら、桜木をきっと困らせてしまうかもしれない。
 また迷惑ばかり掛けちゃう……。

「……私、これからどうすればいい?」

「え……?」

「今、すごく苦しいの。……私、自分がおかしくなりそうなの」