「……ニオイでわかるなんて、すごいね」

「俺たちはそれほど嗅覚が優れてるってことだ」

 でも、吸血鬼ってことはだよ……。

「……吸血鬼ってことは、アンタは人間を殺すってこと?」

 吸血鬼ってことは、そういうことだよね?
 
「それはどうかな」

「はあ? 真面目に答えてよ。秘密を知った私のことも、殺すの?」

 私のことも殺すって言うなら……。

「それはお前次第だな。 まあ見た目は人間なんだ。俺が吸血鬼だなんて誰も思わないさ、普通はな」

「……ちょっと待って。 つまりアンタは、ヴァンパイアとしてその役目を果たすために、ここに来たってこと?」

「まあそういうことだ」

「……アンタが、吸血鬼」

 今目の前にいるのは、人間じゃなく人間の姿をした吸血鬼だ。
 たしかにどう見ても、見た目は人間だ……。

 でも心と中身は吸血鬼そのものだと桜木は言ってた。……下手すれば、私は噛み殺されるかもしれない。

「質問には答えたんだ。約束は守れよ」

「……わかってる」

 私は、これからどうなってしまうのだろう……。
 桜木の秘密を知ってしまった私は、これからどうやって接していけばいいのだろうか。


 
* * *