ちくしょう……。

 真琴を助けてやれなくてごめん。 俺は、俺は……。

「……そうか。その手があったか」

 俺は持っていたナイフで自分の手首を軽く切る。俺の手首から流れる真っ赤な血。
 だがその血を真琴に飲ませれば、もしかしたらなんとかなるかもしれない。
 そう思った俺は、真琴を助けるために行動を取った。

「……真琴、頼む」

 助かってくれ。 もうお前を助ける方法はこれしかねぇんだ。
 自分の血を口の中に含み、真琴に口移しで飲ませていく。
 いわゆる、これはキスだ。 でも仕方ない。

 いちいち気にしちゃいられない。 真琴を助けるためだ。

「真琴……真琴?」

「……ん……っ」

「真琴? おい、しっかりしろ!俺の声聞こえるか!?」

 真琴は薄っすらと目を開ける。

「……さく、らぎ……?」

「よかった……意識戻ったか」

 真琴は薄っすらとした目で俺を見る。

「っ……さく、らぎの声が……聞こえたの」

「え……?」

「しっかり、しろって……聞こ、えるか……って、聞こ……えたの」

 俺は真琴を手を握りしめる。

「……良かった。本当に、良かった」

 良かった……。真琴は、生きていた。

「ヴァン……パイアの、血って……何?」

「え……なんだ?」

「っ……ヴァンパイアの血って……人間、死ぬの?」

「……場合によっては、死ぬ」

 真琴は「そっか……私、死ぬんだね」と呟いた。

「安心しろ。お前は絶対に死なせない。……俺がお前を守る」

「……その言葉、信じていいんだよね?」