「……なんだと? どういうことだ?」

「俺もあの女が゙欲しぐなったんでね。 俺のモノにするまで生かすことにしたんだ」

 俺はそれを聞いて、目を見開いた。
 
「お前っ……!」

「フッ……せいぜい俺のモノになるのを、大人しく見とくんだな」

「ふざけんな!お前にはぜってぇ渡さねぇ。……お前みたいな卑怯なヤツに、真琴のことを渡すわけねぇだろ」

 俺は真琴を守ると約束したんだ。 だから絶対に約束を守る。

「それはどうかな」

「……どういう意味だ?」

「彼女はいずれ、俺のモノになる。 絶対にな」

「……ほざいてろ」

 アイツには絶対に渡したりしない。この命をかけても、真琴を守る。

「フッ……」

 そして男は怪しく微笑み、俺の前から姿を消した。

「……真琴がアイツのモノになる、だと?」

 ふざけんな、真琴は誰にも渡さない。 アイツのモノになんかさせない。
 ーーー絶対に。

「おい、真琴! 起きろ!」

 意識を失っている真琴の体を揺らしてみる。 だがやはり、意識はない。
 当たり前か……。ヴァンパイアの血を飲まされたんだ。
 アイツは死んだりはしないって言っていたけど、本当なのか……?

「おい。起きろよ……起きろって、真琴」

「………」

 いくら揺さぶっても、真琴は起きない。

「真琴……真琴、しっかりしろ! 起きろって!」

 くそっ……俺はどうしたらいいんだ。

 女一人助けられない自分が悔しくて、余計にイライラする。
 なんか……なんかいい方法はないのか。