「ふざけんな! お前、コイツに何をした……?」

「なにって……これを打ったのさ」

 ……っ!? あ、あれは……。

「お前、それ……」

「ああ、ヴァンパイアの血だよ。 コイツをその女に打った」

 ヴァンパイアの……血、だと……?

「っ……てめぇ、ふざけんなよ!」

「ヴァン、パイアの……血……?」

 真琴が声を微かに震わせていた。

「……おい、まさか」

「ああ、コイツはヴァンパイアの血を打ったなんて知らねぇよ。 言う訳がないだろう」

「え……?」

 真琴の意識が、少しずつなくなっていくように見える。

「っ……てめぇ、ふざけんなよ! お前の目的はなんだ!?誰の指示だ!? 答えろ!」

 俺はもう怒りが爆発していた。 感情的になってはいけないこともわかっている。
 でも感情は抑えられない。 コントロールするなんて俺にはムリだ。

「さく……らぎ……やめ、てっ……」

「なんでだよ! だってお前……」

「わた、しは……へ……いき。だか、らっ……」

 そして真琴の意識はそこで途切れたーーー。

「真琴……? しっかりしろ、真琴!」

「フッ……その女も人間だ。 そこまでだな」

「っ……てめぇ、ふざけんなよ! アイツはなんも関係ねぇだろうが!関係ないアイツ巻き込むんじゃねぇよ!」

「おいおい、なにそんなに熱くなってんだよ。たかが人間だろ?」

「たかが、人間……?」

 たかが……だと? 真琴をたかが人間だと、コイツは確かに言った。