そして俺の前には、体を縛られた真琴がいた。その服はボロボロになっていた。

「真琴……!?」

 おいおい、ふざけんなよ!

「さーて、この女をどうしてやろうか。 弟が殺された時と同じように、噛み殺してやろうか?」

「やめろ! そいつに触るな!」

「フッ……どうしようかなあ」

「おい、そいつに指一本触れてみろ。……俺がお前をぶっ殺す」

 くっそ……。なんとかして真琴を助け出さねえと。
 危害を加えられるのだけは、絶対に避けたい。

「ぶっ殺す? アハハッ……笑えるぜ! 殺すだと?俺にそんな口叩くなんて100年早いんだよ!」

「……お前もあんまり俺をナメると、痛い目に遭うぜ」

「はあ……?」

 ついにこの瞬間を見せる時が来ちまったのか。本当は、アイツだけには見せたくなかったんだけどな……。
 でも仕方ない。 アイツにも本当の俺を正体を見せるしか……。

「っ、さく……らぎ……ダメッ……!」

「っ……真琴!?」

 アイツは傷だらけの体で俺を見ていた。

「ぜっ、たいに……ダメッ……。私は、大丈夫……だからっ……」

「でもお前、ボロボロじゃねぇか! そんなんで大丈夫なわけねぇだろうが……。なに言ってんだよ」

 真琴は力を振り絞り「さく、らぎ……アンタは……アンタだけは、死んだら……ダメだよ」と俺に言った。

「なに言ってんだよ。お前は俺が守るって言っただろ!」

 くっそ……。アイツ、真琴になんてこと!

「……フッ、この女も所詮は人間だな。 やはりここまでか」