「ヤツらの目的は俺の"血"だ。 つまり俺の血をなにか目的があって、狙ってるってことになる」

 なるほど……。

「桜木は、自分がなんで狙われてるのか、わからないの?」

「ああ。全くわからない」

「……そう。 でもこれから、どうしたらいいのかわからないね」
 
 桜木は「そうだな……」と口にし、校庭を眺めている。

「桜木……大丈夫?」

「大丈夫だ。真琴は、心配しなくていい」

「……うん」

 桜木が狙われる理由……。そして桜木の血をなにか目的があって狙ってるとしたら、それはなぜなのだろうか。
 桜木になにか恨みがあるのか。……それとも、桜木を傷つけたいだけなのか。
 いずれにしても警戒が必要だね。

 私が、桜木を守らないと。 なにがあっても、守らなくちゃ……。
 桜木を死なせたりはしない、絶対に。

「ねえ、桜木……?」

「ん?」

「桜木を狙う人の中に、桜木を恨んでる人とか……いないの?」

 桜木は「……恨み、ね」と呟く。

「何か心当たり、ないの?」

「心当たりね……。どうかな」

  その言い方だと、心当たりが当たりそうな雰囲気はするけど……。どうなんだろう。

「ないなら、いいんだけど」

「……まあ、誰かしらには恨まれてるだろうけどな」

「え……?」

 私は桜木に「それ、どういう意味……?」と聞いてみたけど、桜木は「まあ……ヴァンパイアだしな、俺」とはぐらかされてしまった。

「ヴァンパイアだから、恨まれてるってこと?」

 桜木は「……さあな」とだけ答えた。