「そう、友達以上。……覚えておけよ」

 桜木は私の腕を離すと、スタスタと歩いていってしまった。

「え、なになに……?」

 なんなの?今の意味深な言葉は……。

 そんなよくわからない感情に振り回されて、訳がわからなくなる。
 だけど今感じているのは、その感情が今まであまり感じたことがない感情だってことだ。
 桜木という存在に振り回されて、私はおかしくなってる。 この感情を、どうにかしたい……。


✱ ✱ ✱


「なあ、真琴」

「ん?」

 放課後になり帰ろうとしたら、桜木が「この間のことで、ちょっと気になることがあるんだけど」と私に話しかけてきた。

「気になること……?」

「……ああ、あの女言ってたんだよ。 俺の命を狙ってるヤツは他にもいっぱいいる、ってな」

「え……どういうこと?」
  
 他にも……って、他にもいるの……?

「俺にもわかない。……ただ、なんか裏がありそうな気がするんだ」

「裏……?」

「なんか、引っ掛かるんだよ」

 桜木がそんなことを言うから、気になって「引っ掛かるって……なにが引っ掛かるの?」と問いかけてみた。

「よく考えてみろ。アイツら以外にも、俺の命を狙ってるヤツは確かにいた」

「うん……そうだね」

 桜木は「真琴、思い出せ。……そこに一つだけ、共通してることがあるだろ?」と私に話す。

「共通……?」

「そうだ。 俺の命を狙ってたヤツは全員、俺の゙血゙を目的としてた」

「……言われてみれば、確かにそうだね。 全員アンタの血を狙ってた」