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「……おはよう、桜木」

「ああ、おはよ」

 あれから数日が経った。 あの日以来何毎もなく、平和な日々が続いていた。
 だけど今でも思い出すのは、桜木とあのヴァンパイア女の会話だ。 桜木が仲間にならないなら、私を殺すっていうあの会話。

 それを聞いた時は正直意味がわかんなかったし、腹が立った。
 でも桜木が私を守るって言ってくれた時、すごく嬉しかった。

 桜木はあんなヴァンパイア女の言いなりになんかなる訳がないんだってわかったから、腹立たしさもなくなっていた。
 でもまさか、私を殺そうとしてるだなんて思ってもなかった。

 しかも私を出しにして桜木を脅していたなんて……。本当に最低以外の何者でもない。
 今度その女を見つけたら、そいつの首根っこ引きちぎってやるんだから。
 私はアイツを絶対に許さない。

「……ねぇ桜木」

「ん」

「あの女の首根っこ、引きちぎってもいいかな」

 私が桜木にそう言うと、桜木は「はっ?」と私を見る。

「だってムカつくんだもん。 すごく腹立つから、今すぐぶっ飛ばしたい」

 桜木は呆れたように「やめとけよ。 お前、噛まれて死ぬぞ」と私を止めた。

「大丈夫。 だって桜木が、私を守ってくれるんでしょ?」

「いや……まあ、そうは言ったけど……」

 私は桜木に「あ、あのさ……」と話しかける。

「その……ごめんね」
 
「なんで真琴が謝るんだよ?」

 私はこの間また桜木にキスをしてしまったことを思い出して、反省してしまったんだ。