「だから私、絶対に逃げない。 自分の命が危なくても、絶対に逃げたりしない」
「……頼むから、無茶だけはするなよ」
「それはこっちのセリフだからね。 アンタも絶対無茶だけはしないで。……私のこと守るって、約束したんだから」
「ああ、わかってる」
私は桜木の手を握り、「絶対だからね。……破ったら、アンタのその首根っこ引きちぎってやるからね」と言った。
「……それ前にも言われたような気がするな」
「それ言われると、私も言ったような気がする……」
なんとなく言ったことを覚えている。
「だよな。言ったよな」
「多分言ったと思う。 多分出会ってすぐの頃かな」
「……ああ、確かにそうだな」
あの頃が懐かしい。 私は桜木と出会ってまだそんなに経ってないのに、もう懐かしく感じる。
「……ねえ、桜木」
「なんだ?」
「死んだりしないでね。……約束、だから」
「ああ、わかってる」
どうしよう、急に不安になる。 もし桜木が私の前からいなくなったら……どうしようって。
もし桜木が死んだらどうしようって、すごく不安で仕方なくなる。
だって桜木は、吸血鬼(ヴァンパイア)だから。いつ死ぬかのかもわからないって、桜木自身も言っていた。
だからもし桜木が私の前からいなくなったら……私はどうしたらいいのかわからなくて、きっと苦しくなると思う。
桜木が隣にいないなんて、もう考えられない。
「桜木……」
「ん……?」
私は桜木の目線の高さに顔を合わせると、再び桜木の唇にキスを落としたーーー。



