桜木のことをそれは妬んでるとしか思えない。

「真琴、お前にはわかんないかもしんねぇけど、それは仕方のないことなんだ」

「……仕方ない? なによ、仕方ないって」

 桜木は私を近くのベンチへ連れて行き、座らせる。

「俺らの世界じゃ、それが当たり前なんだよ」

「……アンタはそれでいいの? ずっと狙われたままでいいの?」

 私は桜木を見つめる。
 
「まあ、狙われたままってのはイヤだけどな」

「なら、なんで……?」

 桜木は私を手をそっと握ると「決まってんだろ。……お前がいるからだよ」と私を見つめる。

「……え?」

「俺にはお前がいる。 だから何も怖くないんだ」

「……っ、桜木」

「だから、恐れることなんてなにもない」
 
 私は「……もう、バカ」と呟くと、桜木は私の体をグッと引き寄せ「悪かったな」と囁いた。

「え……?」

「お前をこんなことに巻き込んで悪かった。……お前は何も関係ないのに」

 私は桜木からそう言われて桜木の腕の中で「本当だよ。……でもね」と桜木にしっかり抱き着いた。

「……でも、なんだよ」

「アンタが私を守ってくれるって言ってくれたから……私、嬉しかった」

 私は桜木から離れると、「私を守るって言ってくれた時……桜木を信じてよかったって心の底から思った」と微笑んだ。

「……真琴」

「だから私は、自分の命が危なかろうがなんだろうが、関係ないの。……だってアンタがそばで、私を守ってくれるから」

 私は……桜木のそばにいたいって思った。