私は桜木に「なんで桜木の血を狙うの?……あ、同じヴァンパイア、だから?」と聞くと「いや、それは違う」と答えた。

「えっ……じゃあなに?」

 ヴァンパイアだから狙われてる訳じゃないって……じゃあなんなの?  

「俺の血が特別だからだよ」

「……特別?」
 
 特別ってなんだろう……?

「ああ。俺の血はヴァンパイアの中でも一番うまいと言われてるんだ。 まあそれもそのはずだ。俺の血は両親から受け継いでるんだからな」

「桜木の、両親……?」

 そっか。桜木にも両親、いるんだよね……。

「俺の両親は、ヴァンパイアの世界じゃ最強とも言われてるんだ。名誉あるヴァンパイアだって訳だよ。……だからその血を受け継いでる俺は、相当貴重ってことだ」

「……そう、なんだ」

 なんとなくだけど、話はわかったような気がする。
 つまりその貴重な血を奪うために、桜木は命を狙われているってことだ。

「だから俺は、色んなヤツから命を狙われるってことだ。……理解したか?」

「まあ……なんとなくはわかった。 つまりアンタは、両親から受け継いだ血が最強だから、狙われるってことでしょ?」

「そういうこと」

 それについてはわかった。 でもなんかわかんないんだけどさ……。

「桜木がそんな理由で狙われるとか、納得できない」

「……は?」

「いや、いくら両親が最強だとはいえ、アンタはアンタでしょ? なのになんで狙われるのよ。それこそ私には、意味わかんない。……両親の血がすごいからって、アンタを狙う理由にはならないと思うけど」

 なんかムカつく……。
 
「……おい。ちょっと落ち着けって」

「なんで?だってそうでしょ?」