「安心しろ。俺がアイツを殺させたりはしない」

「なに言ってるのかわかってる? バカじゃないの? そんなこと、アンタにできるとでも思ってる訳!?」

 そう聞かれた桜木は「ああ、できるさ」と一言答えた。

 桜木……アンタって本当にバカだね。

「っ……だったらアンタたち二人とも地獄に落としてやるわよ!」

「やれるもんならやってみろ」

「……なんですって?」

 桜木は口を開くと真剣な顔で「ただしお前は、この俺が潰す」と、宣言したのだった。

「フッ……おもしろいこと言うのね。 いいわ。潰せるもんなら、潰してみなさい」

「言われなくても、お前のその骨まで砕いてやるよ」

 桜木……。

「ああ、そうだ。バカなお前に俺から一つ教えてやるよ」

「……バカ、ですって?」

「ああ。 悪いけどお前には、アイツを殺すことなんて出来ない」

 え……? それは、どういう意味……?

「……それ、どういう意味かしら?」

 そう聞かれた桜木は、力強い声で「アイツは絶対に俺が守る」と言ったんだ。

 さ、桜木……どうして?

「俺はアイツと約束したんだ。 なにがあろうともアイツを守ってやると。……だから俺がいる限り、お前にアイツは殺させない」

「……っ、バカッ」

 桜木、アンタはやっぱりバカだよ。……でももっもバカなのは、私の方だ。
 だって桜木は、私を守ろうとしてくれていた。それなのに私は、何も知らずにあんなことを……。