「お待たせ、萌恵。 じゃあ、帰ろっか」

「うん、そうだね」

 私は職員室にノートを提出してから、萌恵と学校を出た。


✱ ✱ ✱


「じゃあね、萌恵。私こっちだから」

「うん。バイバーイ」

「バイバイ」

 萌恵と別れて、家に帰る道をただひたすら歩く。
だけどずっと考えるのは、桜木のことだ。
 あれから学校にも戻ってこなかったし、メールもしてみたけど、返ってこなかった。

「……はあ」

 ため息をついたその時……。

「ふざけるな。俺はお前の言いなりになんか絶対にならねえ」

「……え?」

 あれって桜木……だよね?
 と……あれは誰? なんか言い争ってるみたいだけど……。

「へぇ……あれだけ忠告したのに、まだわかってないようね」

「うるせぇ。お前みてぇなバカ女の言いなりになるくらいなら、死んだほうがマシだっての」

 遠くで桜木のそう話す声が聞こえてきた。

 え、女……? 言いなり……?
 死んだほうがマシ……? え?一体なんのこと?なんの話をしてるの……?

「へえ……それでも私の仲間になるつもりはないみたいね」

「当たり前だ。 お前の仲間になるつもりなんかサラサラねえから」

 え……仲間? なに、どういうこと……?

「そう……じゃあ仕方ないわね」

「……お前、なにするつもりだ」

「決まってるでしょ。アンタが仲よくしてるあの゙人間の女゙を道ずれにするのよ」

 ……え? 人間の女?

 ちょっと、これなんの会話? なんかの怖い話をしてる……?