「……ああ、悪い。ほら」

 桜木から提出用のノートを受け取る。

「ったく……何回も呼んでるんだから、ちゃんと返事してよね」

「だから悪かったって」

「……もう」

 ここ最近、何日か前から桜木の様子が変なんだ。
さっきみたいに何回名前を呼んでも、反応しなかったりするし……。
 しかもみんなのこと避けだしたり、はたまた不機嫌だったり。 なんだかおかしすぎる。

「……ねえ、桜木」

「なんだ?」

「なんか最近変じゃない?」

「……いや、別に変じゃないけど」

「ウソよ。絶対変よ」

 桜木は変だ。 キスをした日以来から、ちょっとなんか変なんだ。
 私のことも避けようとするし……。

 やっぱりイヤだったのかな、私とのキス……。本当は怒ってるのだろうか、キスしたこと。

「別に変じゃないって。いつも通りだし、全然」

「ウソつき。アンタのこと見てればわかるよ。……全然いつも通りなんかじゃない」

 私は桜木に「ねえ、なんかあった?」と問いかけてみるが「……別に。お前には関係ないことだから」と席を立ち上がった。

「はあ? あ、ちょっと桜木……!?」

 桜木はそのまま帰ってしまった。……なによ、なんなのよあれはっ!
 急にあんな態度とっちゃって! 私とのキスがイヤなら、そう言えばいいじゃない!

 もうっ!ムカつく! なんなのよ、桜木のヤツ!

「関係ないって、なによ……」

 私のこと信じるって言ったくせに……。あんな態度取るとか、ひどいんだけど。