次の日の朝、学校へ行くと「真琴」と名前を呼ばれた。

「桜木……どうしたの?」

「ちょっと話があるんだ」

 桜木から話があると声を掛けられた私は「うん……なに?」と桜木を見る。

「……とりあえず、来てほしい」

「ああ、うん」

 あの日以来、桜木とは少し気まずくなってしまった。 悪いのは私だってわかってはいるけど、なかなか素直に気持ちを伝えられない。

「……なあ、真琴」

「ん?」

 私が桜木を見ると、桜木は「……俺、お前のこと本当に信じていいんだよな」と言われた。

「……え?」

「あの時お前、言ってくれたろ。私を信じてって。……だから俺は、お前を信じることにした」

 へ……?

「え……なんで?」

 なんで急に……?

「お前が俺を信じてくれるからだ」

「……そう。そっか」

 なんかケンカしたカップルみたいな感覚になっているのは、なぜだろうか。
 私たち別に、付き合ってる訳じゃないのに……。

「一つ聞く。俺はお前のこと、殺すかもしれないぞ。……それでも、いいのか?」

「いいよ。 だって、私のことは殺さないでしょ?」

「なんでそう言い切れるんだよ。 お前が死なないって保証はどこにもないんだぞ? それなのに、なんで……」

 確かに私が死なない保証はないかもしれない。 桜木に殺されるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
 けど私は桜木と友達だから、友達のことを信じるのは普通のことだと思ってる。
 それが人間っていう生き物だから。