「桜木?」
「………」
「おーい、桜木?」
なんだかあっという間に昼休みを迎えてしまって。 だけどさっきから、桜木の様子がなんか変だ。
「どうかしたの、桜木?」
「………」
でも桜木はなんの反応もない。 ただどこかを見つめたまま、口を開こうともしない。
「桜木、どうかした……?」
「……血のニオイが増えてる」
そして桜木は、そう告げる。
「え……?」
「……血のニオイが二人になってる」
「どういう……こと?」
それって、ヴァンパイアは一人じゃないってこと……?
「つまりこの学校に、バンパイアが゙二人゙いる」
「二人……? え、ウソでしょ……?」
なんで増えてるの? いつから二人なの?
「……しかもどこからか、俺を狙ってる」
「え……どうするの?」
「とりあえず知らんぷりするしかねぇだろ」
知らんぷり……? そんなこと出来るの?
「でも……」
「とりあえず今は、なにもしてこないはずだ。
落ち着いていれば大丈夫だろ」
「……そうだね」
本当に何もしてこないの? そんな根拠ある?
「心配するな。俺は簡単に死んだりはしねぇよ」
「……わかってるよ」
そう、桜木はヴァンパイアだ。 だから人間の私とは違う。
ヴァンパイアの桜木がそう簡単に死んだりしないってことは、よくわかってる。
でも桜木はいつ死ぬかすら、わからない。……だからこそ、今この状況で何もできない自分がただ悔しい。



